リュウガ×ラオウ:SS:横死 [R10]
・リュウガ×ラオウの掌編です。
・性的関係を匂わす描写があります。
※果てしなくソフトなつもりですが、
感じ方には個人差もあると思います。
横死
天狼は孤高の星だなどとはじめに言ったのは誰なのか、なんの戯言だろうかとリュウガは整った顔を月長石色に強張らせては、折々に考えた。
狼は古来、群れる習性だ。
現に男の下について以来、リュウガは全身でもって一群の獣になった。唸る風に混じって走り、射竦める眼、振るう一刀手、地を蹴る一脚、王を得てすべてが勇み、獲物を屠るため喜々として動いた。
その一方で、星の運めなどというものには胡散臭い詐術を嗅ぐのみだった。真であるならば、失うことも、出会うことも、試すことも、従うことも測ることも、また定めだというのか。無限に刻まれるこの歎きも痛苦も、時に予め織り込まれた横糸の一筋に過ぎぬというのか?
易々と謀られてなるものか。
男を頂点とするヒエラルキーの金字塔形に生涯はじめての安寧をみたのだ。これを取り崩すため冷たい手をして生まれたなどと、勝手を吹かれてハイと肯んじえるものか?
反逆がため、リュウガは今、血と泥に塗れ、牙折れ目の潰れた野良狗も同じだった。男の弟の腕に抱かれ、忍び寄る死、地獄の底で営巣する獣の吐息を聴きながら、今度こそリュウガは笑んだ。温かい懐、雪色の喉元、控えめな眼差、歪む口元に零れる慈しみの気配、そんなものが自身をこの顛末に導いたのだから。
星でもなく、さだめでもなく。
終
- 作品名
- リュウガ×ラオウ:SS:横死 [R10]
- 登録日時
- 2010/09/14 (Tue) 00:00
- 分類
- 文::危険(♂×♂)