108 「もしここに『栄光の手』があったとする。願い事は3つまで。お前は何を願う?」 「そうだな……チョコレート1年分?おいしいしカロリーはあるし、腐らないから、いざという時の保存食に」 「まあ反対はしない。鼻の横にぶら下げていろと言ったりもしない」 「鼻の横にチョコレートがぶら下がっていたら、いつでも食べられて便利だね。子供にも大人気だ。君は?一緒に何か願うだろう?」 「じゃあ鶏かな。庭に。毎朝卵が食べられるし、鶏肉は旨い」 「食べ物の注文ばかりで、栄光の手というより雑貨屋の御用聞きのようだ。残りの1つは?」 「そうだな……お前の欲しいものを何か1つ」 「今のところ特にない。2人で世界平和でも願っておくかい?」 「いや、ちょっと待て!?」 「うわ!急に大声を出して…びっくりするじゃないか」 「お前!病気!病気のことは願わないのか!?」 「あ!」 「……忘れていたのか!?」 「……忘れてた。そんな馬鹿な……」 「俺も一瞬忘れていたが……」 「昔はあんなに悩んで毎日泣いていたのに……歳は取るものだねえ」 「まあ最近はもっぱらこの家のバスルームだからな」 「ああ、うん。……それにしても子供の頃の真剣に苦しんでいた私に知られたら刺されるな」 「昔のお前なら、どんな理由でも人を刺したりしないだろう」 「まるで今の私なら刺すと言わんばかりの口振りだけれど?」 「考え過ぎだ」 「そういうことにしておこう。では取り合えず私の願いは病気の治癒。あとは君の……君は悪いところは特にないからね。では短気が治るように願ってみようか」 「……じゃあ俺はお前がもっと俺にメロメロになるように願う」 「メロメロ?なんの形容詞だい?」 「俺に夢中になるという意味だ」 「君、そんな気色の悪いものと暮らして何が楽しいんだ……」 「気色悪くない!」 「分かった。性格の改造系は諦めよう。よく考えると相手に失礼だからね」 「じゃあ他に……」 「貯えはあるし、住む所もあるし、特に他の悩みもないし。残りの2つの願い事はハリーにでも譲ろうか」 「そうだな。ハリーならきっと、願いたい事が色々あるだろう」 「病気が治ったら、私は君にアニメーガスを習うよ。それで昼間に並んで走ってみたいな」 「お前はきっとウサギとかリスとか、ああいう小さいのになるに違いない」 「そうかな?」 「そうとも。俺はお前を踏み潰さないように注意して走らなければ。なんなら頭の上に乗せてやる」 「それは面白そうだ」 「居眠りするな?」 「努力する」 いや。 私が思うに、ここの先生はたぶんゾウとかサイとかになる。 (一応草食動物) シリウス呆然。ドリーム粉々。 踏み潰されないように注意が必要だぞ。 ゾウとかサイならまだしもクマとかになられた日には もう絶対夫婦喧嘩はやっちゃいかんという感じ。 日記で書いた「3つの願い」ネタから派生しました。 時間的には100話のあたり。幸せバカッポー。 1の願い 奥さんがソーセージ好きで「ソーセージをください」 2の願い 旦那さんが怒って「一生ソーセージを鼻の横にぶら下げろ」 3の願い ……ソーセージを撤去してください済みませんごめんなさい どう考えてもこれは旦那様に非がありますよね。 愛も思慮も足りない。いいじゃんソーセージくらい。 2005/08/26 BACK |