111 ある日リーマス・ルーピンは、シリウス・ブラックに関する噂話がされている場に偶然居合わせるという珍しい体験をした。 その魔法使いの青年達は席に着くとこう語った。 「シリウス・ブラックほど見事な握手をする男性を僕は他に知らないね。まず彼はシャープに手を差し出し、最初に柔らかく、次に力強く握る。それで離す間際にぎゅっと手に力をこめるようにするんだ。始終じっとこちらの目を見て、その表情がまた親しみを感じさせる笑顔でね。それでいて優雅なんだな。ああいうのは生まれつきのものだろうね」 その話の一部分を漏れ聞き、ルーピンは成程そうなのかと思った。 彼とシリウス・ブラックは生活を共にしキスまで交わす間柄であるが、知り合って随分長いのでシリウスがどのような握手をするのかをルーピンは知らなかった。 帰宅後にルーピンは早速シリウスに手を差し出し握手を求めてみた。シリウスは首の傾きを45度にせんばかりの勢いで訝り、のろのろとルーピンの手を握る。そして何を思ったのかその手の甲にキスしたりもした。 その一連の様子を見て、きちんとした説明なしには彼と握手が出来ず、そしてきちんとした説明をすると尚のこと、人に賞賛されていた彼本来の握手を体験出来る事はないだろう自分の立場のちょっとした不便さをルーピンは初めて知る。 しかしその不便さは本当にちょっとしたものだったので、ルーピンは笑い、「いや、いいんだ。忘れてくれ」と言って友人の肩をたたいたのだった。 1人の人間の 外に向けている部分と 内に見せる部分の どちらが好きかという話。 ルーピン先生はシリウスさんの 内側の顔がマジ好きなので 別に全然気にしないだろうと思います。 今はそうでもないかもしれないけど、 一昔前の握手は、男性の人物評価の一部だった。 なので紳士達はせっせと手を整え、 パウダーをまぶしたりした。 たぶん先生の握手は、初対面人にとって イマイチだと思う。 (骨っぽくって刺さりそう。力が弱い。 なんか手が冷えてる。等の理由で) 2005/10/03 BACK |