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 あれから数年が過ぎた。
 ようやく一連の事件も、済んだ事だという認識が人々の間に浸透した。あの忌まわしい出来事から何がしかを学ぼうという熱心な人々によってシンポジウムや講演会などが時折催され、2人は主催者に請われ、あるいは紹介者に頼まれて話をする事があった。
 姦計により12年間アズカバンに投獄され、発狂も死亡もせずに耐えたシリウスの体験談は大抵は会のメインとなった。話術巧みな彼の語るアズカバンは真に迫り、ディメンターの呼吸と体温を、人々に実際体験したかのようにリアルに感じさせた。中には悲鳴を上げて気絶する女性もおり、もう少し控えめにお願いしたいという事前の申し出もあったほどだ。
 ルーピンはにこやかに、何でもないことのように拷問の体験を語った。上唇全体を削がれたり、爪を剥がされたりした時に、どうやって自分が自我を保ったかという話と、「他者を圧する必要のある強い思想」の危険性を語った。これもまた場内を静まり返らせる話以外の何ものでもない。しかし当時こんな体験をした人間は珍しくなかった。
 2人にとって、全ては終わったことなので、互いの話を聞いて動揺したり憤りを覚えたりすることはもうない。

 しかし帰宅した彼等は、こっそりと友人の後姿を眺めたり、或いは相手の、今はもう傷のない指や頬を確かめるように撫でてみたりする、そんな時間が若干増えるのだった。






こんなホニャの二次創作の後ろに、
ついでのように書くのはためらわれますが
世界が平和でありますように。

すべての国の大将が
スマートな頭脳の持ち主でありますように。
2006/01/30