21 ルーピンは花を摘むようにシリウスの髪を一房手に取り、その匂いをかいだ。 シリウスはそれまで行っていた新聞記事のスクラップ作業を辛抱強く続行していたが、いつまで経ってもルーピンがそうやっているので、とうとう何をしているのかと尋ねた。 いい匂いがするから、と上の空でルーピンは返事をする。 小さく吹き出したシリウスはルーピンの頭をぐいと引き寄せ、その髪の中に鼻を埋める。 そして同じ匂いだ、同じ洗髪剤を使っているんだから。と勝ち誇ったように宣言する。 ルーピンは譲らない。香料に体臭が混ざるから君と私の匂いは違うと主張した。 シリウスは体臭は食べている物によって左右されるという知識を披露する。なので同じ洗髪剤、同じ石鹸、同じ食べ物を食べて同じ家に住んでいる自分達の匂いは殆ど同じだと言った。 ルーピンはそれでも首を振る。 それから彼等は、互いの頬や首筋や胸に顔を寄せてそれを確かめる仕事に専念した。初めて会った子犬同士がおそるおそるそうするように、まったく真剣な顔だった。 もし彼等のその様子を見た人間がいたとしたら、まず100%2人が何か違う行為をしていると解釈したであろう。しかしそんな事は彼等の知った事ではなかった。 やあ、受同士のカプはなごむわー(大・暴・言)。 BACK |