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タイトルギリシャ語とアラビア語表記が気持ち悪い件について
記事No1843
投稿日: 2022/07/02(Sat) 10:00
投稿者名無し   <Gjkvhj5789@gmail.com>
ご無沙汰です。
さて今回は真面目な質問です。
古代エジプト文明の都市名では
メンネフェル、メンフィス、ミト・ラヒーナ
のようにエジプト語、ギリシャ語、アラビア語
と表記ずれしてますがなぜエジプト学では由緒正しき
エジプト語の発音に統一しないんですか?
所詮エジプト文明末期以降でしかエジプトで使われていない
ギリシャ語と中世からのアラビア語は排除していくべきですよね?
発音が分からない場合でも極力コプト語の発音で表記すべきですよね?
もちろん紀元前のエジプト語は表意文字だし
時代によって都市名の発音も変化していくだろうし
なかなか本当の発音を再現することは難しいと思うけど

タイトルRe: ギリシャ語とアラビア語表記が気持ち悪い件について
記事No1844
投稿日: 2022/07/02(Sat) 17:34
投稿者岡沢 秋
> ご無沙汰です。
すいません、誰なのか全然分かりません。

> メンネフェル、メンフィス、ミト・ラヒーナ
> のようにエジプト語、ギリシャ語、アラビア語
> と表記ずれしてますがなぜエジプト学では由緒正しき
> エジプト語の発音に統一しないんですか?

まぁなんかお察しされていると思いますが、理由は片手に余るくらいありますね。

・古代エジプト語の発音はわからないので、どう書いても暫定になる

・古代エジプトの歴史は約3000年あり、同じ綴りで記録されていても発音が時代ごとに少しずつ違う。それを推定でカタカナになおしていくと結局ブレる

・それならブレの少ない方法で記載したほうがわかりやい

・ぶっちゃけ古代エジプト語の地名が分かっていない地点も少なくない。記録にあるのは都市名だけなのでビール工房しか出てこなかったりすると近くの遺跡の一部にするか、最寄りの村の名前をとって名付けたりする

・古代エジプト語が解読されるまではギリシャ語やヘブライ語など、別の言語からエジプトの地名を認識するしかなかった。先行で「テーベ」「ヘリオポリス」などギリシャ語名で定着している地名を敢えて置き換える意義が少ない

・現代名の町名と古代名の町の位置が異なる。たとえばメンフィスの正確な位置は実は分かっていない。現代のミト・ラヒーナ村のあたりで遺跡が少し出ているため、そこが一部だったことだけはわかっている

・一つの地点でも、切り口によってメインで使われる言語が異なる。
エジプトの場合、古代遺跡と現代の住居がほとんどの場合は重なっているため、地図的には現代のアラブ語地名で記載する。
ギリシャ人入植地の歴史として取り扱うならギリシャ語地名に、コプト教の歴史としてはコプト語の地名になる。


ざっと書いてもこのくらい。
まとめると、古代エジプト語で地名を統一することが「そもそも無理」という事情と、分かりづらくなるので「面倒くさい」が半々じゃないですかね。

タイトルRe^2: ギリシャ語とアラビア語表記が気持ち悪い件について
記事No1845
投稿日: 2022/07/02(Sat) 21:15
投稿者名無し
> > ご無沙汰です。
> すいません、誰なのか全然分かりません。
>
> > メンネフェル、メンフィス、ミト・ラヒーナ
> > のようにエジプト語、ギリシャ語、アラビア語
> > と表記ずれしてますがなぜエジプト学では由緒正しき
> > エジプト語の発音に統一しないんですか?
>
> まぁなんかお察しされていると思いますが、理由は片手に余るくらいありますね。
>
> ・古代エジプト語の発音はわからないので、どう書いても暫定になる
>
> ・古代エジプトの歴史は約3000年あり、同じ綴りで記録されていても発音が時代ごとに少しずつ違う。それを推定でカタカナになおしていくと結局ブレる
>
> ・それならブレの少ない方法で記載したほうがわかりやい
>
> ・ぶっちゃけ古代エジプト語の地名が分かっていない地点も少なくない。記録にあるのは都市名だけなのでビール工房しか出てこなかったりすると近くの遺跡の一部にするか、最寄りの村の名前をとって名付けたりする
>
> ・古代エジプト語が解読されるまではギリシャ語やヘブライ語など、別の言語からエジプトの地名を認識するしかなかった。先行で「テーベ」「ヘリオポリス」などギリシャ語名で定着している地名を敢えて置き換える意義が少ない
>
> ・現代名の町名と古代名の町の位置が異なる。たとえばメンフィスの正確な位置は実は分かっていない。現代のミト・ラヒーナ村のあたりで遺跡が少し出ているため、そこが一部だったことだけはわかっている
>
> ・一つの地点でも、切り口によってメインで使われる言語が異なる。
> エジプトの場合、古代遺跡と現代の住居がほとんどの場合は重なっているため、地図的には現代のアラブ語地名で記載する。
> ギリシャ人入植地の歴史として取り扱うならギリシャ語地名に、コプト教の歴史としてはコプト語の地名になる。
>
>
> ざっと書いてもこのくらい。
> まとめると、古代エジプト語で地名を統一することが「そもそも無理」という事情と、分かりづらくなるので「面倒くさい」が半々じゃないですかね。

なるほど!結局のところエジプト語の正しい発音は不明な点が多いのですね。
しかもイネブヘジュ・メンネフェル(メンフィス)の正式な位置が
未だに分かっていなくミト・ラヒーナはその一部に過ぎないのも少し意外でした。
個人的にはやっぱり全てエジプト語・コプト語風にしてほしいのですが
現実としてはギリシャ語やアラビア語などの地名はやっぱり仕方ないんですね。
ウクライナの首都の日本語名が「キエフ」から「キーウ」に変わったのがきっかけで
古代エジプト文明の地名にも疑問を覚えるようになりましたがその疑問を解消できました。
ありがとうございました。

タイトルRe^3: ギリシャ語とアラビア語表記が気持ち悪い件について
記事No1846
投稿日: 2022/07/03(Sun) 21:36
投稿者岡沢 秋
> ウクライナの首都の日本語名が「キエフ」から「キーウ」に変わったのがきっかけで
> 古代エジプト文明の地名にも疑問を覚えるようになりましたがその疑問を解消できました。

なるほど。
ただエジプトの場合は、ウクライナとは事情が違うんですよね。公用語がギリシャ語だった期間(プトレマイオス朝〜ビザンツ支配)で約1000年、アラビア語だった時代で約1500年あるので、どの時代の歴史も重要だし、同じ場所に複数言語の歴史が積み重なっています。
それらを分離するのはちょっと無理です。

カイロなんかわかりやすくて、古代のオンの町と太陽神の町ヘリオポリスに隣接してコプト教会の並ぶオールド・カイロ、さらにアラブ時代のフスタートに聖人廟とサラディン関連の要塞までありますからね。場合によって使い分けるしかないです。

タイトルRe^4: ギリシャ語とアラビア語表記が気持ち悪い件について
記事No1847
投稿日: 2022/07/04(Mon) 19:04
投稿者岡沢 秋
誰かからツッコミ入る前に補足しておくと、メンフィスは遺稿がほぼ転用済みのため全容が分からない、だいたいの場所はわかっている状態。

ガチで場所が不明なのが中王国時代の首都イチイ・タァウイ。
農地の下に完全に埋もれてて、何年か前にボーリング調査で「この地点は入ってそう」みたいなアタリはつけられていたけど、地名としてどこに設定すればいいかが微妙。

新王国時代首都のテーベ/ルクソールはよく知られているけど、その対岸にも王宮があったことが分かったのは近年なので、やっぱり「どこからどこまで」の範囲の設定が難しい。


古代名を厳密に使うのが難しいんですよね。日本で言う邪馬台国より古いですからね…