タイトル | : 遺跡保護のための土地利用 |
記事No | : 1474 |
投稿日 | : 2016/09/02(Fri) 23:00 |
投稿者 | : MT |
「遺跡の保護には上を畑にすればいい」という話、見させていただきました。 成程!とは思ったんですけど、日本でこの手法を使うとなると法律的に難しいと思いますね・・・
おおよそすべての遺跡−→工事などで掘削される深度あるいは掘削が可能な深度まで掘って調査、その記録を以て保存にかえる
史跡地に登録された場所ー→完全に保護され、上で何かするたびにお役所に現状変更届を出して許可を取る必要がある
というわけで、上が畑などである以上調査されることはなく、一度調査された箇所が畑に戻るということはなく、ということが大半だと思われます。家になる可能性はありますけど、保護が目的になるかというと・・・。なお史跡地はたいてい、史跡公園という実利があまり感じられない例のアレになります。
一方、学術調査では畑などを掘り、また畑に戻すケースも考えられますが、耕作放棄地がどんどん増えて宅地に変えられている現状の日本でどれだけ遺跡を守る効果があるかは疑問です・・・ 土地所有者の理解が足りなかったりとか、土地の権利が移ったりしたら守ってもらえなくなる可能性が高い気がします。転作してゴボウトレンチャー入れたらぶっこわれる深さに遺構面があります、なんてこともザラですしね・・・
加えて、日本では遺跡に対する一般の方々の意識というのがものすごく低いという問題もあります。ローマあたりみたいに石造りの建物とか石像でも残ってればまだいいんでしょうけど、日本で掘って出てくるのはまず「柱の跡」とか「穴の跡」「溝の跡」…どれもこれもただの土ですよね。土の違いですよね。誰得なんでしょう。出土品も土器とか陶器の破片(≒瓦礫、ガラクタ)がメインですし。工事関係者の人たちからは邪魔者と目されて憎まれてますし。 遺跡の真ん中に住んでる人から「○○市に遺跡ってあるんですか?」とか「ここって遺跡とかあるんですね!すごーい!」とか言われることもしょっちゅうですしね! 土地利用者が遺跡の保護にどれだけ意義や使命感を感じられるかとても分かったものではないです。
というわけで、手法の良し悪しはともかく現状では難しいだろう、という話でした。 現行の文化財保護法も、土塊か瓦礫の破片のような土器ですら捨てられないとか、現状保存を至上として手を入れることを許さないとか(対象物が自然景観などの場合ですら!)、このまま続けるにはいろいろ問題ありそうなんですけどね・・・
長文&散文、失礼いたしました。
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