一定のラインから入れない。
それが好きな人だったりしたらつらい。
一定のラインは自分を守るためのライン。
好きでもないから入ってこないで!!!のサイン。
「比瑪ちゃん」
後ろ姿でそう確信して声をかけたら、間違いなく宇都宮比瑪だった。
「あ〜〜〜!!!あの時のっっ」
「話があるんだ」
「私の方にはない。半径5m以内に近寄らないで!!!」
そう言って彼女は遠ざかる。
ここは戦艦大空魔竜内。
元リクレイマーの俺の身柄は今、この大空魔竜戦隊にある。
監視付きの戦闘要員。
オルファンにいるリクレイマー達と戦う手段が今、ここにしかない。
「比瑪ちゃん、この間の事は謝る。ごめん。別に悪気があってしたわけじゃないんだ」
「あったら、最低。なくってもサイテー!!!」
突発的にキスをしてしまった相手はかなり、怒っていた。
まぁ、当たり前か。
「オルファンって、リクレイマーって平気でそう言うこと出来ちゃうわけ?そう言う事しても平気でOKな訳?」
「オルファンとか、リクレイマーとか関係ないだろう」
「うるさい、うるさいうるさ〜い!!人に勝手にキスした人の話なんか聞きませんよーだ!!!」
とりつく島もない。
「比瑪ちゃん、人の話を聞いてくれ」
「勝手に人の名前、なれなれしく呼ばないでよっ」
「…だから」
「比瑪ねえちゃんは、はずかしいんだモ」
下から聞こえてきた声に、視線を下げると、その場には彼女の弟分である3歳ぐらいの男の子…クマゾーがいた。
「ク、クマゾー何でいきなりっ」
「おにいちゃん達に、ようす見てこいっていわれたモ」
そう言ったクマゾーの視線の先には、この『大空魔竜』に乗っている他のメンバーがいた。
「やべっ」
そんな声が聞こえてきそうで、彼らは焦りながらどこかへと消えていった。
「…まったく……」
「勇…だったよね」
クマゾーの突然の出現と、彼らの行動に今、怒っていたのを忘れたかのように比瑪ちゃんは態度を柔らかくする。
「別に、怒ってる訳じゃないんだ(許せないけど)」
…許せないけどってやっぱり、怒ってるんじゃ…。
「ちょっと、突然の事に驚いただけだから。…これから、よろしくね、勇」
「…こちらこそ、よろしく、比瑪ちゃん」
そう言って握手をしようと手を伸ばしたときだ。
「あ、でも当分の間は半径3m以内、立ち入り禁止だからね。行こ、クマゾー」
そう言って比瑪ちゃんはクマゾーを連れ颯爽と行ってしまった。
……3m…ねぇ。
…5mから…減っただけ、いいか。
*あとがき*
何にしようって思って浮かんだのが、大空魔竜に乗り込んだあたりの比瑪と勇の話し。
混乱したら、勇に喧嘩売ってた比瑪。
そして、冷静な勇。
今ひとつ性格つかみきれないのに、書いた私って…。
ちなみに、比瑪の宇都宮はうつのみやと呼ぶのではなくうつみやと読みます。
別にうつのみやだって良いじゃん、富野監督。
と思う今日この頃。
完成:2004/7/12