「快斗ぉーーーー次どこ行く???」
青子がオレに向かってそう言う。
久しぶりに青子ときたトロピカルランド。
青子は相変わらず、お子様だけどそこが可愛いところでもある。
「そうだなぁ、………青子が行きたいところならどこでもいいよ」
「ホントに?」
「あぁ」
「ホントのホントに?」
「ホントのホント」
青子をつい甘やかすのはオレの悪い癖だな。
「じゃあねぇ、青子ねぇ………あ!!さっきの大阪二人組だよ快斗」
と青子が指さす方向にオレをあいつと間違えた大阪二人組が居た。
しかもその隣にはあいつとその彼女。
その場から逃げようと思ったが、何を思ったのか青子はそいつらの方へと向かう。
「こんにちわ、さっきはどうも」
「あ、間違えて堪忍ね。ほら、平次も謝って」
「ホンマすいません。でも、ホンマに工藤と蘭ねーちゃんに似とるなぁ」
黒い男がオレに向かって言う。
「あなたが青子に似てるって言う人だね。で君が…あ、ホントに快斗に似てる!ねー名前なんて言うの?わたし、中森青子っていうの。君に似てるのが黒羽快斗っていうんだよ」
と、青子があいつに言う。
「工藤新一」
とあいつはぶっきらぼうに言う。
「新一ー愛想ないよ。わたしは毛利蘭、でこっちの大阪二人組が服部平次君と遠山和葉ちゃん」
と、青子に雰囲気が似ているあいつの彼女が言う。
…これで4回目位かな……彼女に会うのは。
「へぇ、工藤君ってどっかで顔見たことあるんだけど…快斗、ない?」
「あって当然や!工藤とオレはめっちゃ有名な探偵なんやで」
「服部の場合は京阪神地区限定だろ」
「工藤何アホなこと言っとんのや」
と黒い男、服部平次は言う。
知ってるさ、工藤新一、探偵だってことぐらいな。
「…すごーい、探偵、なんだ。快斗はねぇマジックが取り柄なんだよ」
「って青子それだけしかないって感じじゃん」
「え、違うの?」
「あのねぇ」
青子の言葉に反論しようとしたときあいつの彼女…毛利蘭が言う。
「黒羽君のマジック見てみたい」
「アタシも見たい」
と、名探偵の二人の彼女はマジックを観たいという。
「快斗、やってあげてよ。青子も見たい」
「しゃーねーなぁ」
と言いながらオレは父親譲りのマジックを披露する。
「ホンマ凄いわぁ。間近でマジックなんて見る機会あらへんもん」
「そうだねぇ」
とオレのマジックを彼女達二人は喜ぶ。
「蘭、黒羽盗一……って言うマジシャンいたの知ってる?」
「黒羽盗一?」
「ウン、8年前に行方しれずになった有名なマジシャンだよ。事故死だとも、殺されたとも言われてる。お前、その人のマジックにそっくりなのな」
「よく分かったな、さすが名探偵。黒羽盗一はオレのオヤジだよ」
さすが名探偵。
褒めておくべきだな、ここは。
「……工藤君って凄いんだね。頼みごとしちゃおうかな」
頼みごと???
青子があいつに突然言う。
なんだ頼みごとって。
「青子のお父さん、刑事さんなんだけど知ってる?中森銀三って言うの」
「あぁ、怪盗キッド専任の警視庁捜査二課の中森警部ね。警視庁行ったときに何度か顔を合わせたことあるよ」
「でね、お父さんに協力して欲しいの」
まさか、青子のやつ、キッドを捕まえてくれって言うんじゃ……。
「でね、怪盗キッドのこと捕まえて欲しいの」
やっぱりそう言うと思った。
「オレが??」
「そうダメ?」
青子の言葉に工藤新一は驚く。
「オレ一応泥棒は専門外何だけど……」
コナンの時はさんざんからんできやがったくせによく言うぜ。
誰のおかげで元に戻れたと思ってるんだ、んーー?
「だめぇ?」
「青子、あんまり困らせんなよ。今日初めて会った人に」
「でも、快斗に似てるから親しみ沸いちゃって……」
ふぅ、青子のやつ。
そんな青子の調子につられてオレは
「でもな、青子。怪盗って言うのは鮮やかに獲物を盗み出す、創造的な芸術家だけど…」
とんでもないことを探偵二人の前で
「探偵はその跡を見て難癖つける、ただの批評家にしかすぎねーんだぜ?」
口走った。
前にも工藤新一=江戸川コナンには言ったはずだ。
でも、さんざんオレにからんできたお前への挑戦状だぜ。
「胸くそ悪いやっちゃなぁ、それじゃああんたは犯罪を肯定しているようにしか聞こえへんわ」
案の定西の探偵服部平次は言う。
「だけど、オレの言ってることは正論だと思うぜ」
だが、オレの言葉にあいつは目を見開いて驚いている。
「快斗って……いつも、キッドの肩もつよね。青子、そんな快斗嫌い」
「青子ーーーーー嫌いなんて言うなよぉー」
青子の言葉に少なからずともショックを受けながらちらっとあいつの方を見る。
呆然……そんな言葉がよく似合う顔をしていた。
「新一?どうしたの?」
「…何でもないよ、蘭。青子ちゃん、君の言ったこと受けてもいいよ」
「え?!もしかして怪盗キッドを捕まえるってこと?」
「あぁ、あいつにはちょっとした因縁があるからな」
因縁……ね。
大事な彼女を二度も眠らせたこと…かな?
そろそろここに居るのもやばいかもしんねーな。
「青子、そろそろいくぞ」
「えぇ、もうちょっと話してよぉよ」
これ以上ここに居たらばれるっつーの。
「ダメ、行くよ青子」
そう言って青子を連れていく。
「黒羽!」
そう言って工藤新一はオレを呼び止める。
「快斗、だよ新一。またお前には逢えそうな気がするな」
そう言ってオレは青子を連れその場を去った。
新一……挑戦状、受け取れよ。