君の基準 TITLE 子供達は夜の住人〜たとえばこんな探偵&怪盗奇談〜

「ごめん、今日違う人と約束しちゃったの」
「はい?!」
 突然言われた言葉にオレは面食らう。
 どういうことだよ……。
 今日は一緒に出かけるって言ったの蘭じゃねーのか?
「ホント、ごめんね」
 そう言って蘭が出かけていったのは今日朝早く………。
 そっと起きだした蘭にオレが聞いたのだ……。
 なんでこんなに起きるの早いんだと………。
 でその後ふて寝していたオレを服部と快斗の二人にむりやり海に連れ出されたのだ。
 本来ならば、全員が全員お互いで出かけるはずだったのが……。
「何が楽しくってオレが服部と快斗と海にこなきゃならねーんだ???」
「しゃーないやろ、和葉が出かけたんのやから」
「そうそう青子も出かけたんだよ」
 三人が浜辺で銘々にビーチチェアーで寝ている。
「ま、たまにはえぇやろ」
「そうだね。平ちゃんナンパでもしない?」
「おぉ、えぇのぉ」
 勝手にしてろ。
 オレはそんな気全然ない!
「そりゃね、新一は蘭ちゃん命だもんなぁ」
 勝手に言ってろ。
「しらねぇぞ、あいつらも海に来てたりしたら」
「そんな分けないやろ。それやったら昨日から準備してると違うか?」
「そうそう、海には来てないよ」
 のんきな奴等だな……。
「ねぇ、君たち。向こうでアタシ達と遊ばない?」
 思いっきりナンパ目的の茶髪の女の子達がオレ達に声を掛ける。
 オレはその気がないので、ちょっと目線を向けただけだったが、
「すまんなぁ、オレ達連れがおんねん」
「ごめんね、そいつらまってるからココから離れるわけには行かないんだよね」
 と快斗&服部が言ったのには驚いた。
 その女のコ達が行った後オレは服部達に聞いて見る。
「何で、行かなかったんだ?ナンパして女の子と遊ぶんじゃなかったのかよ」
「別にえぇやろ。好みがあんねんから」
「そうそう、いろいろとね好みってもんがあるじゃん」
 そう言うもんかねぇ?
 オレはナンパはしないからわかんねーけどよ。
 その後もいろんなタイプの女の子達が声を掛けてきたのだがあの二人はすっぱりと断る。
「オイオイ、さっきっからいろんなタイプの女の子が声掛けてんのに何でのらねぇんだよ」
「えぇやんか、好みの問題や」
「そうそう。ってさぁ、新一だったらどんなのがいいわけ?」
 突然、快斗はオレに話をふる。
「何でオレになるんだよ!!」
「何気に気になるじゃん」
「そうや、工藤の好きなんは蘭ねーちゃんやって知っとる。せやけど、工藤の好みのタイプっちゅうのはしらんやんか」
 と服部まで言いだす。
 オレの好みのタイプって考えたことねーよ。
「そう言う服部と快斗はどういうのがタイプなんだよ」
 と聞くと二人は即答する。
「清楚なタイプや。おとなしゅうてな」
「オレ、グラマーなお姉ちゃん」
 と。
 …………正反対????
「で、工藤はどないなのがえーんのや?」
「そうだなぁ………」
 この追及をかわすのにとりあえず、オレはそれらしき感じの女の子を探すために浜辺を眺める。
 その時丁度、オレ達のいる所の前の波打ち際でビーチボールで遊んでいる三人を発見する。
 その中のロングの髪で花柄のビキニの女の子に目が留まる。
「あの波打ち際にいる三人いるじゃん、あの中ではあのロングの髪の娘かな……」
「へぇ……蘭ちゃんっぽいよな」
「そう言われてみるとそうやなぁ、ホンマに蘭ねーちゃんやってりしてな」
 バーロ、そんな事あるわけねーじゃん(まえ一度あったけど……)。
「オレやったらそうやな、ポニーテールの女の子やな」
「和葉ちゃんポニーテールだもんな」
 とポニーテールでセパレートタイプの水着を着ている女の子を服部は言う。
「アホ、それで選んだんとちゃうわ」
「快斗はどうなんだよ」
「…ってそしたらワンピースタイプの女の子しかいねーじゃん」
「分けることあらへんと違うか?」
「まぁ、それもそうなんだけどよ。でもさぁ、あのビキニの女の子蘭ちゃんに似てるよな」
 うるせー、何度も言うんじゃねーよ。
 と、その時だった。
「すいませーん、そこのボールとってくれへん?」
 と可愛い関西弁が聞こえた。
 さっき波打ち際で遊んでいた女の子がこっちを向いて手を降っている。
「おぉ、これか、ちょっとまっとってやぁ」
 と、服部が言ったときだった。
「平次?」
「ハイ?」
「え、快斗?」
「は?」
「し、新一???????????????????」
「え……マジ?」
 そう、その三人組の女の子は蘭と青子ちゃんと和葉ちゃんだった……。
 場所は移動して海の家で涼むことにした。
「な、なんでこないなところにおるんや????」
「遊びに来たんや。たまには女の子だけでもえぇやろって言うことになってん」
「アホ、それやったら言いや」
「何で、いちいちいわなあかんねん。せっかく秘密にしたったのに」
「秘密にすることないやろ?」
 服部と和葉ちゃんの言い合いはまだまだ続くので割愛(笑)。
「怒ってる?新一」
「何が」
「秘密にしたこと」
「別に怒ってないよ。ただびっくりしただけ。まさか……」
「まさか?」
 そこで止めたオレに蘭は聞く。
「く、く、く、く、く、く、もーーーーーーーーーーーダメオレ。我慢できない!!」
 そう言って快斗は急に笑いだす。
「快ちゃん笑うなや。オレまで移るやろぉ!」
 そう言って服部まで笑いだす。
 笑うなよ!!!
 笑っている理由はわかる。
 あの、女の子が蘭だって分かったとき服部と快斗はオレの方を見てニヤっと笑ったからだ。
「だってさぁ、お前の基準って言うのがはっきり分かってさぁ」
「ホンマやなぁ。あれ知ったときはめっちゃ驚いたわ。ホンマ、あれなんやなぁ」
 本人(蘭)がいる目の前では言えないのか快斗と服部は言葉を濁す。
「あのなぁ、テメーらだって人のこと言えねぇじゃねーかよ!!」
 と反論してみても二人は
「最初に見つけたのはお前や!」
「そうそう、オレ達はそれに乗っかっただけ」
 と言いやがる。
 くっそーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
 何でなんだよぉ。
「ねぇ、何があったのぉ?」
 突然、蘭がオレの顔をのぞき込む。
 う………。
 オレの基準が蘭だってばれたらオレ一生、蘭に勝てねぇかも………。
 いいのか、オレ?
 それで。
 好みと好きな子って言うのは違うと…思ってたんだけど。
 た、確かに蘭にしか反応しねぇけどよぉ………。
 なんかなぁ………。
 まぁ、いっかぁ。

*あとがき*
サンデー掲載時に立ち読みした時浮かんだ話。


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