「綺麗だね。こんなに紅葉してるなんて思わなかった」
見晴らしのいい丘。
紅葉が綺麗だからって、みんなで遊びに来た。
みんなって言うのはなぜかつるむようになってしまったいつもの6人。
「なんか、のんびり紅葉なんか見るの久しぶりだよな」
そう言って新一は気持ち良さそうに日差しを浴びている。
「せやから言うたやろ。息抜きになるって」
「あのなぁ、服部、お前受験生って言う自覚ねぇだろ」
「オレに言うなや。それやったら快ちゃんの方がないで」
「オレ?オレ受験勉強別にしなくても平気だし。一応IQ.400だし」
「そう言う問題じゃねぇだろ!!!!」
快斗君の言葉に新一は怒鳴りだす。
「仲がいいんだか、悪いんだか。ホンマにわからへんよね」
和葉ちゃんの言葉にわたしと青子ちゃんは大きくうなずく。
「でも世間をにぎわせている3人とは…ちょっと思えないよね」
と青子ちゃん。
その言葉にも大きくうなずく。
「なんか、楽しそうだから、わたし達はわたし達でそこら辺散歩しない?」
わたしの言葉に和葉ちゃんと青子ちゃんはニッコリうなずく。
「わたし達、そこら辺ちょっと散歩してくるね」
と一応3人に声を掛けその場を離れた。
***
「工藤は大学どこいくんや?」
服部の言葉にオレは応えない。
答えたら最後、来られるからだ。
まぁ、帝丹はエスカレータ式だから帝丹大に行くことにはなってるが、外部からの編入が可能なので、服部に入られる可能性が大なのである。
「平ちゃんが気にすることあるのか?改方ってエスカレータじゃなかったっけ」
「そや。けど、オレと和葉、外部受けることにしたんや。快ちゃんはどないすんのや?」
「総合大学だけど」
「大学名や」
「秘密。って教えなかったっけ?」
「聞いてへんよ」
「あれ?」
服部と快斗の会話を聞いていて、オレは寒けがしてくる。
嫌な予感って言うやつだ。
「まぁ、大学名は後で聞くわ。で、学部や学部。工藤はなに学部にすんのや?」
「理工」
服部の言葉にオレは簡潔に答える。
「理工?????ほんならねーちゃんは」
「蘭は古典英文。書斎に古い洋書があって蘭がそれに興味示した。だから大学では古典英文やるって言ってる」
「古典英文ってクイーンズだろ。蘭ちゃんクイーンズ平気なの?」
「オレが平気」
オレの言葉に快斗と服部は目を丸くする。
「オレが平気って……」
「クイーンズだって普通の英文だよ。大丈夫、オレが分かれば蘭にだって分かるようになるよ」
その言葉に服部と快斗は何も言わない。
「和葉は、考古学言うてた」
「へぇ」
「邪馬台国の場所さがす言うて騒いどる。青子ねーちゃんはなんや?」
「青子は子供が好きだからって先生になるって」
「なんや三人ばらばらなんか。あかんなぁ」
「あぁ」
ん????
何がまずいんだ?
「で、お前らはどこだよ」
「理工」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ??
「今なんて言ったんだ?」
「理工学部や」
「まぁ、あんま気にすることじゃないだろ。大学違うかも知れないんだし」
「ちょっと待てよ。違うかもしれないって何で、違うって断定しねぇんだよ!!」
快斗の言葉にオレは頭が痛くなる。
下手したらこいつら帝丹にくるんじゃねぇのか。
冗談じゃねーぞ。
「工藤…、工藤は将来どないするんや?」
ふと服部がまじめな顔してオレに問い掛ける。
「オレより、オメェらはどうすんだよ」
「オレか?オレは多分探偵やな。刑事になろうと昔思うとったけど…。今はやっぱり探偵の方が何かと便利かと思うてな。快ちゃんはどないすんねん?」
「さぁ?」
服部の言葉に快斗は首をかしげる
「さぁってどういう意味や」
「今一つ、オレ自分がやりたいこと分かってないんだよね。マジシャンって言うのもある。けど、オレは多分オヤジをこえることは出来ないだろうし…。まぁ、まだ大学4年間あるんだしさ。あのことも考えようかなって思ってる」
「ホンマなんか?」
「うん」
ん?
服部と快斗の会話が見えない。
あの事ってなんだ?
「何の話だよ」
「秘密だよ」
「なんや、工藤気になるんか?」
「気になるかよっ」
服部がまじめな顔ではなくにやにやした顔で言ってきたためにオレは思いっきり反論してしまった。
「気になるんだったら気になるって言ってみろよ、新一」
「ならねーよ」
ったくぅ。
こいつらにはつきあいきれねぇよ。
軽く服部と快斗をあしらうと…不意に蘭達がいないことに気がついた。
「蘭達、どこ行ったんだ?」
「そう言えば……平ちゃん知ってる?」
「知らんわ…どこに行ったんやろ」
快斗も服部も蘭達がどこに行ったか知らない。
「ともかく、捜してみるか」
「そやな」
「まずいことになってなきゃいいけど」
ともかくオレ達3人はその場から立ち上がり蘭達を捜しに行くことにした。
森の散歩コースに今わたし達はいる。
「返事聞かんと来てもうたけど…。アタシらがここおる言うこと知っとるかな」
和葉ちゃんの言葉にわたしと青子ちゃんは首をかしげる。
「どうだろうねぇ。話に夢中になってたから…気付いてないと思うよ」
「そうだね。一つのことに夢中になると……周りの物見えなくなるから」
「いえてる」
わたしの言葉に青子ちゃんと和葉ちゃんはうなずく。
たまにはいいよね。
女の子だけでも。
「たまには心配掛けさせんと。いっつもアタシらばっか心配してるやんか。損やで損」
と和葉ちゃん。
だけど…でも…とつなげる。
気持ち分かる。
でも…心配掛けたくない。
矛盾してるよね。
心配して欲しい、けど、心配掛けたくない。
「でも、この矛盾してる気持ち…分かってくれないんだよね」
と青子ちゃんが寂しそうに言う。
「でもね、青子は快斗のこと好きになってよかったと思うんだ。快斗が側にいなかったら辛いことも一人じゃ耐えられなかったと思うもん。嬉しいことも、悲しいことも快斗がいたから…青子大丈夫だったんだよ」
「そうやね」
青子ちゃんの言葉にわたしと和葉ちゃんはうなずく。
新一が…側にいてくれたから。
コナン君(新一)が…側にいてくれたからわたしは大丈夫だった。
「戻ろうか」
わたしの言葉に二人はうなずく。
木々の間から空を見上げる。
雲一つない抜けるような青い空。
その空がもっと観たくて早く歩いてしまう。
少し高台になった所まで来るとあたりは開け、真っ青な空が眼前に広がる。
そして色とりどりに紅葉した木々達。
冷たいけれど気持ちのいい風。
さわやかな秋の日差し。
その瞬間、世界とはなんて素晴らしいんだろうって思ってしまった。
大地が空が風が気持ちいい。
涙が出てきそうなほどの感情が全ての物からあふれ出していく。
この世に生まれたこと…感謝したくなる。
出会えたこと、好きになったこと、側にいられること。
全てのことに。
「気持ちえぇな。アタシ…生まれてきて良かったと思うわ。アホやけど…平次に逢えたんやもんね。蘭ちゃんは工藤君に、青子ちゃんは快斗君に」
わたしと青子ちゃんはそう言った和葉ちゃんの言葉にうなずいた。
開けた高台の上に三人はいた。
どうやらナンパはされていなかったらしい。
まぁ、こんなところにナンパするやつはいないだろうけどな。
オレ達はその三人の側に駆け寄る。
「ったく、どっか行くときは行くって言えよな」
「ホンマやで。心配する言うこと分からんかったか?」
「心配したんだぞ。急にいなくなるから」
オレ達の言葉に三人はただ微笑んでる。
「ん?なんか変なこと言ったか?」
「いや、言うてへんな?」
「どうしたんだよ。なんか変なこと言った?」
オレ達は三人の態度にただただ不思議になるばかり。
1.平和
「変なこと言うてへんよ。はよ行こ」
そう言って和葉はオレの腕をつかむ。
「な、なんやねん。どないしたんや和葉?」
「気にせんとはよ行こ。蘭ちゃんと青子ちゃんとで話してたんだけどな。ここら辺においしい御飯屋さんがあるんやて。そこに行こう言う話になったん」
そう言って和葉はぐいぐいオレの腕をつかんで歩いていく。
「そんなに引っ張るなや」
その言葉に和葉はオレの方を見てニッコリ笑う。
な、なんやねん。
「和葉、どないしたんや?」
「平次は気にせんでえぇんよ。これは、アタシの問題なんやから」
和葉の問題?
どういうことや?
「もー。ホンマに気にせんといて」
なんやよう分からんけど…まぁ、えぇわ。
「和葉、あの事蘭ねーちゃんには言うてへんよな」
「言うてへんよ、安心して。まだ内緒にしとくんやろ?」
和葉はオレの言葉に応える。
そや、あの計画はまだ内緒にしとく。
「うまくいくとえぇね」
「うまくいくに決まっとる。そやろ」
オレの言葉に和葉は満面に笑みをたたえてうなずいた。
2.快青
「快斗もいこ」
和葉ちゃんが平ちゃんの腕をつかんで行ったのを見ながら青子はオレの腕をつかんでそう言う。
「どうしたんだよ。急に」
「秘密、だよ」
そう言って青子はニッコリ微笑む。
「秘密ってなぁ」
笑いかけられたら…これ以上強く聞けねーじゃん。
「快斗達は何話してたの?」
「いつ?」
「青子達のこと捜してるとき」
「秘密、だよ」
青子のまねをすると案の定青子は
「ずるい、何で教えてくれないの」
と言いだす。
「ずるくねーだろ。青子だって秘密にしたじゃねーかよ」
「そうか。ごめんね、快斗」
青子の秘密を探りだそうとしたが軽く青子に交わされてしまった。
「それ以上突っ込まないのかよ」
「ウン。秘密なんでしょ?余計なこと聞いて青子の秘密知られるのいやだもん」
やっぱり…。
「快斗…、この前言ってたことホント?」
「いや?」
「……ちょっとね……」
青子はそう言ってうつむく。
「まだ4年間あるんだし、そのうち変わるかもしれねぇだろ。心配するなよ。それより、この前言ったこと、来月実行するからな」
「うん」
「楽しそうだよね」
「あったりめーだろ。このオレがいるんだから」
オレの言葉に青子はそう言ってニッコリ笑った。
3.新蘭〜WE LOVE THE EARTH〜
「新一」
ふと蘭がオレに声を掛ける。
服部や快斗達は彼女に腕を引かれ既に先に行っている。
「何?蘭」
「わたし達も行こ」
そう言って蘭はオレの腕に自分の腕を絡ませる。
「どうしたんだよ、蘭」
「和葉ちゃんと青子ちゃんと話してたの。で、これがその結論」
これがその結論?
今一つ意味が飲み込めない。
「蘭、抽象しすぎて意味わかんねーよ」
「分からないなら分からないでいいの。小さな想いなんだから」
「想い?」
「うん」
ますます意味が分からない。
蘭が腕を絡ませてくることと小さな想いというのはどこで繋がるんだろう。
「我が侭も入ってるかな?」
我が侭…か。
「そばにいてほしいって事?」
でも、これは我がままじゃねぇよな。
「違う、その逆。そばにいるって事。そばにいさせてって事かな?」
側にいさせてか。
小さな我が侭か?
蘭にしたら我が侭なのかもしれねぇな。
でも、オレにしたら、蘭には側にいて欲しいから、我が侭でも何でもない。
「蘭、そんなの我が侭でもなんでもねぇよ。オレ達が一緒にいる事は当たり前だろ。オレは蘭に側にいて欲しい。いてくれなきゃ、嫌だよオレは。オレも側にいるから」
オレの言葉に蘭は静かにうなずく。
「新一」
少しの沈黙の後蘭は静かにオレを呼ぶ。
「何?」
「学部…離れちゃうね」
寂しそうに蘭は言う。
大学の学部の事だ。
蘭は英文科で古典英文をやりたいって言ってた。
オレは理工で……。
「…………そうだな……………………オレ…やっぱ」
「ダメだよ。理工が良いって言ったの新一だよ」
オレが言いたいことを意図したのか蘭はそれを止める。
「……一緒に…暮らしてるのに…5.6時間…離れるだけでも嫌だな」
「……違うクラスになったの小学校の時以来だよね」
想いだすように蘭は言う。
「あぁ、あの2年間は辛かった」
蘭のやってること全然分からなかったし、蘭には新しい友達が出来ちまうし……。
「辛かったの?」
「へっ?」
「わたしと違うクラスだった3.4年の時辛かったの?わたしがいなくて?」
「あ"っあのな」
「初めて聞いたへーそーなんだ。フーン」
……ばれてしまった。
隠してたのに。
「オメェはどうなんだよ」
「わたし、寂しかったよ。まぁ、園子がいたからそんなでもなかったけど…。やっぱり嫌だったな。新一がわたしの知らない人としゃべって笑ってるの見て」
蘭も同じだったんだな。
「これから4年間大丈夫かな?」
「大丈夫だろ?一緒に暮らしてるんだから…」
「そうだよね」
あの時は当然のことながら別々の家だった。
でも、今は違う。
一緒に暮らしてる。
「蘭、これからもよろしくな」
「わたしの方もよろしくね」
〜WE LOVE THE EARTH〜
Don't worry 目を閉じて 何も言わなくても
絡む指先から 聞こえる君の囁き
偶然を信じてる だから君がいる
明日は訪れても 強く抱きしめている
あの日遠い未来を ぼくは考えていた
君と生きる勇気 地球を愛すこと
We are just creatures on the Earth
We Love the Earth いつか
We Love the Earth 夜に
君に逢うために生まれた 愛するために生まれた
We Love the Earth いつか 二人だけの Good vibration
思い出はいらない 君と離れられない
We Love The Earth 夜に見付け出すよ Stay with me tonight
(song by TMN[TM NETWORK] are T.utunomiya
T.komuro N.kine)