蘭が夕飯の買い出しから帰ると同時に事務所の電話が鳴り響く。
「お父さん、いないの??」
事務所に行くと父親の小五郎はおらず、電話だけがしつこく鳴り響いていた。
居候のコナン(新一)は1週間前から阿笠博士のうちに泊まりに行っている。
「はい、毛利探偵事務所です」
「蘭君かね。わしじゃよ、阿笠博士じゃ。蘭君、君にビックニュースじゃ」
電話の主、阿笠博士は言う。
しかも少し興奮気味だ。
「どうしたんですか博士?」
「新一が戻ってきたんじゃよ」
博士の言葉に蘭は一瞬耳を疑う。
(…新一が…戻って来た???????!!!!!!!!!!!!!!!)
(いつ?今?)
「ともかくかなり疲れている様子じゃ」
「新一、どこにいるんですか???」
蘭はどもりそうになりながらも博士に尋ねる。
「新一の家じゃよ、行ってやってくれんかね」
阿笠博士に言われ、蘭ははやる気持ちを抑えながら新一の家に向かう準備をする。
今日は月に一度、蘭の母親である妃英理と父親の毛利小五郎を会わせる日でもあったがそんなことに構ってる余裕が蘭にはなくなってしまった。
(一刻も早く新一のうちに行かなくては)
その思いだけが蘭の頭の中を支配していた。
(でも、二人を心配させるのもあれだよね)
そう思い蘭は両親に書き置きを残していく。
そして、急ぎ新一のうちに向かう。
米花町2丁目21番地の新一の家に。
新一の家の前に着くと、家には明かりがついていた。
(本当に新一がいるんだ……)
門をあけ、新一の家の玄関まで向かう。
(本当に新一はいるの?)
(でも、どうして私に一番最初に連絡してくれなかったの?)
(夢かも知れない)
(夢だったらどうしよう)
(そんなのいや)
(新一、新一……)
いろんな思いが頭を駆け巡る。
玄関のノブを回すと思いの外、鍵は開いていた。
まるで、くるのを待っていたかのように……。
「…新一…?」
声をだしてみる。
(本当にここにいるの新一が………)
「新一、どこにいるの?」
一つ一つ部屋を当たってみる。
リビング、新一の部屋、両親の部屋。
そして、ひときわ大きい書斎。
電気が煌々と照らしているその部屋のソファにもたれ掛かるように新一はいた。
ひざには最新刊の推理小説。
「新一?」
声を掛けても身動き一つしない新一に蘭は不安になってくる。
…寝てるの?…それとも……。
「新一…?」
そう言って顔を近づけると、規則正しい呼吸が聞こえてくる。
「はーーーーーーーーー」
蘭はそう一息はき、ひとまず安心する。
「驚かせないでよね。まったく」
知らぬ間に涙が出てくる。
ふと蘭は新一の顔が赤いことに気がつく。
…まさか熱でもあるの?
新一の頬に触れようとして一瞬、蘭は戸惑う。
…夢だったらどうしよう。
…消えてしまいそうで怖い。
そっと新一のそばに座り、静かに彼の頬に触れてみる。
……温かい……熱はないみたいね。
その瞬間、蘭は新一に腕をつかまれる。
「…しんいち…起きてたの?」
「……蘭……オメー……(って今日はおっちゃん達とご飯食べるんじゃ……)」
まだ寝ぼけた様子の新一は……深い深い海の青……グランブルーの瞳で蘭を不思議そうに見つめる。
蘭はそんな新一の様子に魅了されてしまう。
「……蘭……」
新一は寝ぼけているのかさらうように蘭を抱きしめる。
「ちょっ、ちょっ、ちょっと新一。きゅ、きゅ、急に………」
蘭は新一の唐突な様子に慌てふためく。
「(……やっと帰ってこれたんだ。……蘭ってこんな小さかったっけ……。あぁ、今までオレが小さかったのか………。)」
蘭のぬくもりに新一が浸っているとも知らず、蘭は逃げ出す口実を作る。
「あ……新一おなか空いてるよね。夕飯つくるね、簡単でいいよね」
そう言って、蘭はキッチンに逃げ出してしまった。
(やばかった……この格好であったのマジで久しぶりだし………。博士だな…蘭に電話したの。言ったじゃねーか。今日は親子3人水入らずで食事だって……。まぁ、博士のおかげで蘭に逢えたわけだし、感謝すべきかな?)
今から一週間前である。
新一…コナン…は突然博士から電話をもらったのだ。
「マジかよ博士」
「そうじゃ、哀君は一ヶ月かかると言っておったがな、ともかく出来たそうじゃよ。どうするかね新一」
「んなん、解毒剤、使うに決まってんじゃねーか」
「じゃがのぉ……」
博士はコナンの言葉に難色を示す。
「博士、今戻らないでいつ戻れって言うんだよ」
「ふぅ、しょうがないのぉ。哀君からもらっとるから飲むといいじゃろう」
と、博士はコナンに一つのカプセルを渡す。
「ともかくまず、1週間は様子を見るんじゃよ」
「わーってるよ」
新一は薬をもらって自分の家に戻る。
「あら、行ったのかしら彼は」
「全く、いいのかね哀君」
「別に……一週間あえないのは彼に良い薬になるんじゃないの?…博士、1週間たったら彼女に連絡してね」
「結果は見えてるのにのぉ。哀君」
そこには元の体にもどった灰原哀がいた。
そして、一週間後に阿笠博士は蘭に連絡したのだった。
新一は蘭がキッチンに行ったのを見計らって博士のところに電話する。
出たのは…灰原だった。
「灰原…一ヶ月は無理なんじゃなかったのか」
「あら、ダメとは言ってないわよ。もう、マウス実験はしてるし、私は戻って一ヶ月経ってるし」
「な……………ど、どういうことだよ」
「あら、わたしあなたに内緒で戻っていたのよ」
「なんで、言わねーんだよ!!」
「…私には失うものは何もないわ。あなたにはあるでしょう。だからよ」
灰原の言葉に新一は絶句する。
「あなたがいなくなってなく人、一人いるでしょう、だから私が先に実験台として元に戻ったのよ。……APTX4869を作ったのは私。責任を取るのも私でしょう」
「………灰原……」
「何?」
「ありがとな。元に戻れたのも蘭に逢えたのもお前のおかげだよ」
「礼なんて、言わなくても良いわよ」
灰原はそっけなく言う。
「………………彼女、幸せにしてあげなさい……」
沈黙の後、灰原は静かに言う。
「…バーロ、オメーに言われなくっても幸せにするに決まってんだろ」
「まぁ、これにこりてあんまり怪しいと思って首を突っ込まないことね。それでなくてもあなたは名探偵さん何だから事件なんていやって言うほど降ってくるんだから」
「わーってるよ」
そういって新一は電話を切る。
『工藤君……わたし……あなたが好きだったわ……』
切れた電話の受話器をもって灰原哀……宮野志保……がそうつぶやいたのを新一は知らない。
(新一に見とれてしまった……)
蘭は夕飯を作りながら考えていた。
新一の…蘭からみれば焦点の合っていない…視線に蘭は戸惑ってしまっていたのだ。
(本当に帰ってきたんだ………)
さっき抱きしめられた感触を思い出し蘭は感慨にふけっている。
(…実感湧かないなぁ。本当に新一が帰ってきたなんて…)
「蘭…ご飯まだ?」
「新一出来たよ」
新一がリビングにやって来たときには料理は完成していた。
他愛も無い会話が二人の間を流れる。
「そう言えば、今日おっちゃん達と食事じゃなかったのか?」
「んーその予定だったんだけどね。たまにはお母さんとお父さんと二人ッきりにするのも良いかなって思って抜け出してきちゃった。うまくいくと良いなぁ」
「余計にこじれたってしらねーぞ」
「大丈夫だよ。この頃いい感じなんだお父さんとお母さん」
蘭は楽しそうに言う。
新一は知っていた。
コナンの時、付き合わされていたのだから。
蘭はいろんなことを新一に話す。
まるで、今までの時間をうめるように。
新一は蘭のそんな気持ちを気づいているかのように、優しい笑を浮かべ蘭をみている。
「蘭、ところでどうやって出てきたんだ??」
「来るときね、誰もいなかったから伝言残してきたの。出かけてくるって」
そう言って蘭はうれしそうに話す。
食事も終わり、蘭は後片づけをする。
(わたし…何やってるんだろう。新一に言いたいことたくさん合ったのに……)
片づけが終わったのに蘭はその場から動けなくなってしまった。
(さっきはごまかせたけど、もうダメかも)
「蘭……」
新一は蘭の肩の震えに気がつく。
「蘭……。どうした?」
「新一……」
振り向いた蘭は目に涙を浮かべていた。
「蘭……」
「しんいちぃー……」
そう言って蘭は新一に抱きつく。
「ら、蘭」
「新一、どうして今までどこに行ってたの??どうして、わたしに一番最初に戻って来たこと教えてくれなかったの?どうしてどうして?新一」
そういう蘭を新一は静かに抱きしめる。
「蘭……ごめん」
「逢いたかったんだよ……」
蘭の言葉に新一は静かに言う。
「蘭……今までごめん。やっと、やっと帰ってこれたぜ、お前の元に」
「バカ…ホント気障なんだから」
「ここじゃなんだからオレの部屋においで」
蘭が泣きやんだのに気がついたのか新一は静かに言い、蘭を自分の部屋に連れていった。
「隣、座れよ」
新一は自分が腰掛けているベットの隣を蘭に指定する。
蘭が座ると少しだけ長い沈黙があたりを支配し始める。
その沈黙を破るように新一は話し始めた。
「蘭……今までのこと全部話すよ」
そう言って新一は静かに今まで自分に何が起こっていたのかを話す。
トロピカルランドでわかれてからのこと、黒ずくめの男達に小さくなる薬(APTX4869)を飲まされて子供になってしまったこと。
江戸川コナンとして蘭の家に居候していたこと、阿笠博士特製の時計型麻酔銃を使って蘭の父親小五郎を眠らせ、蝶ネクタイ型変声機を使って名探偵に仕立て上げていたのもすべて新一の仕業だった。
「あぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「な、なんだよいきなり」
「新一、あなたには言いたいこといっぱいあるのよ!!!!一緒に露天風呂入ったとき、みたでしょう!!!!」
「見たって何を。(っていうのはやっぱ…蘭の裸の事だよなぁ)」
「…わたしの裸に決まってるでしょ…」
と、蘭は小さい声で言う。
「あ、あ、あれはしゃーねーだろうー。オメーが、無理やりつれてくから……」
「へーへーそうなんだ、見たんだぁ」
「ら、蘭!」
蘭の冷たい視線にも負けず、必死に弁解をしている新一を見て、蘭は笑いだす。
「な、なんだよいきなり」
「いつもは理路整然としている探偵さんなのにねぇ」
「あのなぁ(オレはまだ人間出来てねぇっつうの)それより続き、続き!!!」
そう言って新一は強引に話しを戻す。
灰原哀……のこと、黒ずくめの男達…黒の組織…のことそして、灰原哀が調合して出来た薬を飲んで元に戻りすべてが終わったことをすべて蘭にゆっくりと時間をかけて話していた。
二人の時間を取り戻すかのように……コナンであったときと今現在の自分をつなぐかのように蘭に話していく。
「ひっく…ぐず、ぐず……」
「蘭………、泣くなよ…」
「だって、わたし全然知らなくって、新一にわがままばっかり言っちゃって心配ばっかり掛けちゃって」
そう言って、蘭は自分を責める。
自分が考えていたよりも新一がとんでもない目に遭っていたことに驚いたのだ。
「蘭、何でオメーが謝るんだよ。オメーが謝る必要あるか?」
「だってぇ……わたし何にも知らなかったんだよ。新一がそんなにつらい目に遭ってるなんて……全然思わなくって」
「蘭、あのな、全部悪いのは、オレなんだよ。オレ。オメーじゃないんだよ。だって、そうだろおまえの側にいたのにオレはおまえに何も出来なかったんだぜ。こんなことになったのもオレが余計な事に首突っ込んだせいなんだから、蘭」
「新一………」
まだ何か言いたそうな蘭だったが新一はそれを止め言葉を続ける。
「オレ……すっげー後悔した。余計な事に首突っ込んだせいでおまえのこと泣かせたことに。からかって泣かせたことはいっぱいあったろ。でもさぁ、オレ心配掛けさせて泣かしたくはなかったんだよ……。蘭、オレおまえに言えなかったんだよ今まで。あのままじゃおまえのこと守ること出来なかった、泣いてても何も出来なかったんだぜ……抱きしめることも」
最後の方を少しごまかしながら新一は蘭に言う。
「コナン君に励まされたこと……あったよ。今から思うと………やっぱり新一だなぁって思えるよね。すこし疑ったときもあったけど」
「ハハハハ…こっちはばれたらどうしようって冷や冷やしてたぜ」
「って言うか分かってたんだよ」
「マジ?」
「ウン。分かってたけど、言わなかったの」
泣きやんだ蘭の言葉に新一は苦笑する。
「……参ったな…………。……蘭……?」
ふと俯いた蘭を新一は心配になる。
「……………しないで」
「え………」
か細い声が新一の中を走る。
「新一……突然いなくなったりしないで。わたしの側にいて、一人にしないで……。わたしが知らないところに行かないって約束して……」
今までためていた思いを吐き出すように蘭は新一に告げる。
「蘭、急にいなくなったりしねーよ。約束する。もう、おまえの泣き顔…見たくないしな。それに悲しい思いなんかさせたくない」
そう言って新一は蘭を抱きしめる。
「新一……」
どのくらい間そうしていたのだろうか。
新一は不意におもいたち蘭の耳元でささやきかける。
「蘭……………好きだ……」
静かにとろけるような甘やかなテノールで新一はささやく。
「………し、新一?!」
「ずーっと、これは言おうって思ってたんだよ。で、蘭お前はどうなんだよ」
素直に新一の腕の中にいる蘭に向かって言う。
「探偵、なんでしょ?それに、知ってるんでしょ?」
「バーロ、直接には言ってないだろ/////」
蘭のからかいに新一はテレながら言う。
「……好き…好きだよ。新一」
そう言って、蘭は新一を見上げる。
にっこりと微笑んでいる新一に蘭はつられて微笑む。
「…………(///やべ、ちょっと理性きかねーかも……)」
静かに新一が蘭に口付けをする。
最初は軽くそして、閉じていた蘭の口唇を新一は口唇を重ねながら開く。
甘やかな感覚が蘭の中を走り始める。
「…ん………新一……」
「何?蘭」
「…あのね……」
蘭が新一を見つめたときだった!
「Trrrrrrtrrrrrrrtrrrrrr」
部屋にある電話が鳴り響く。
「何?」
甘い雰囲気から我に返り、蘭と新一ははずかしながら顔を見合う。
「……新一……事件、じゃないよね」
蘭は不安そうに聞くがそんな不安を消すように新一は言う。
「んな訳ねーよ。まだ、目暮警部とかには連絡してねーし。オレが元にっていうか戻って来たっていうのしってんの博士とお前とオレの親と……」
「園子!!!!」
蘭は大親友の名前を思い出す。
「なっ園子に言ったのかよ……」
「だって、アリバイ……頼んだんだもん。今日、園子のところに泊まってるって事にしてって……。で、そしたら、園子が………新一君帰ってきたんでしょって…」
「で、ばれたって訳か……ふぅ」
そう言って、新一は受話器をとる。
「もしもし、工藤です」
「ヤッホー新一君久しぶりだねぇ」
と、受話器から聞こえてくる声はやはり園子だった。
「何しに電話かけてきたんだよ」
「一応、蘭のアリバイの協力者としては、新一君がちゃんといるか確認したかったんだもん。お邪魔だったかしら?」
と、園子は意地悪く言う。
「あったりめーだろ」
「あらあらごめんなさいね。ちょっと蘭に代わってくれる?」
園子の言葉に新一はコードレスの受話器を蘭に渡す。
「もしもし、園子?」
「良かったねぇ新一君帰ってきて」
「ウン、ごめんね心配掛けて」
蘭のうれし泣きしているような声に園子は疑問に持ち言葉にだす。
「で、どうだった????」
「へ、どうだったって……」
園子の言葉の真意を蘭は読めず聞き返す。
「告白に決まってるでしょう!!した?それともされた?」
「りょ、両方」
蘭は新一の方を盗み見しながら言う。
「良かったじゃないの、これで一安心だわ。あんた達がいつくっつくか、いつくっつくかって傍で見て心配していたんだから」
「ありがとう、園子」
「じゃあ、わたしはお邪魔ね」
「そ、園子!」
蘭は園子の言葉に顔が真っ赤になる。
「あ、そうだもう一度、新一君に代わってくれるかしら?」
「何で?」
「言っときたいことがあるの!!あんたのことちゃんと頼まなくっちゃ」
「園子……」
蘭から新一に代わった電話に園子は言う。
「新一君、今度は蘭のこと泣かすんじゃないわよ!!泣かしたら絶対許さないからね」
「バーロ、おめぇに言われなくても分ってるよ」
「ちゃんと、約束して。蘭のこと泣かさないって」
「誰に」
「決まってるでしょう、蘭によ。わたしに言ってどうすんのよ」
「……蘭のこと今までありがとな、園子」
「礼を言うんだったら後で何かおごんなさい!!」
「はぁ?オメーお嬢様だろう、何でオレがおごんなきゃ何ねーんだよ」
「ふふふ、決まりねぇ、蘭と相談して決めとくわねぇじゃあね」
そう言って園子は電話を切る。
「私、ケーキと紅茶のセットが良い」
「はぁ?」
新一と園子の会話を把握したのか蘭はそう言う。
「太ってもしらねーぞ」
「いいのいいの、新一がいない間はわたし全然食欲なかったんだから」
「その割には食ってたような気がするけど」
「さ、サイテー!!」
新一の軽口に蘭はそっぽを向く。
そんな蘭を新一は抱きしめる。
「蘭、今日はどうすんだ?」
「園子にアリバイ頼んだって言ったでしょ。…新一…今日は一緒にいちゃダメ?」
甘えるように言う蘭に新一はどっちでもいいと言うふうに言う。
「オメーが良いんだったら、オレはいいけど」
「もー、素直にいえないの?帰っちゃうけど、いいの?」
といってにっこり笑う蘭に新一は慌てふためく。
「あ、ば、うっ。(くそおー反則だぞその笑顔は!!)あ"ーーー、蘭!覚悟しとけよ」
「へ?!そ、それってどういう意味?」
「どういう意味もねーよ。こう言う意味だよ!!!」
そう言って新一は蘭の耳朶に接吻をする。
「ちょ、ちょ、ちょっと新一」
「言ったよな、覚悟しとけよって」
そう言って新一は意地悪そうににっこり笑ったのだ。
蘭の苦悩はまだまだ続く。