オレと和葉は幼なじみって言う関係や。
オレのオヤジと和葉ントこのオヤジが幼なじみで確かオカン達も幼なじみやって言っとった様な気がする。
幼なじみ同士の夫婦の間に生まれた子供はやっぱり幼なじみになってまうらしい。
それもそうや。
オヤジと遠山のおっちゃんは親友同士で大阪府警では信頼関係にある二人やし、オカン達はよう遊びに行っとる。
オレと和葉だけでほっとかれたこともしばしばやった。
さすがに中学に上がるようになるとそないな事は少なくはなったが…。
小学校の時一度だけあいつとおんのがなんか嫌になったことがあった。
ホンマに一度だけやけど。
クラスメートがオレと和葉の仲をなんやしつこく茶化したせいや。
ただの幼なじみって言うてるにも関わらずや。
そんなやつらに和葉は立ち向かってった。
「幼なじみのどこが悪いんや」
って。
それ聞いてなんやめっちゃ安心したのを覚えてる。
生まれたときから和葉とオレは側に居る。
このごろ、時たま何やけど、和葉がオレの知ってる和葉と違うように見えんのは何でや?
それにや、この頃和葉に近付く男が気になんのは何でや?
妙な男から、知ってる男まで、妙に気になるんや。
くぁーーーーーーーーーーーー。
たまらんわ。
「平次、どないしてん?」
和葉がしたからオレの顔をのぞき込む。
和葉のことを考えていた途中で和葉の顔が見えたためオレは顔が赤くなってるはずや。
「な、何でもないわ。それより、ねーちゃんからは電話かかってきたんか?」
「平次、いつ、携帯の着信なった?」
「なってへんけど」
「そやったら電話かかってくる訳ないやんか。平次のアホ」
和葉と旅行ってどのくらいしとんのやろ。
オカンとおばちゃんとオヤジの三人がかりでオレと和葉で旅行させたがってるのがよう分る(一人で反対してるおじちゃん(和葉パパ)がかわいそうやで)。
せやけどなぁ、オレと和葉がどうなってもえぇんのやろうか?
そんな感じでオヤジとオカンはオレの事送りだしとるような気がするわ。
まぁ、そんなん考えんのやめやめ!!
今日は、オレは工藤にあいにきたんや!!!!
工藤の奴が追っかけていた事件が2ヶ月前に解決した。
それから工藤をちっこくしていた薬の解毒剤が作られるから、そろそろ工藤はもとに戻っとるはずや。
知り合いの薬剤師に聞けば元の薬があれば1月やそこらで完成するって言うとる。
いろいろマウス実験とかをへてやればそう、もう戻ってるっていう寸法や!!!
工藤、今逢いに行くでーーーーーーーー!!
「なぁ、平次なんでそんなに工藤君に会いたいん?」
和葉が奇妙なことを聞く。
「決まっとるやろう工藤はオレのライバルやからな」
「せやけど…工藤君はそう思ってないんと違う?」
「そんなことあるかぁ」
オレは和葉のアイスを食べる姿を見ながら言う。
絶対工藤はオレのこと意識しとるはずや。
ただ、表にださへんだけや。
「そんなんと違うと思うけどなぁ」
和葉は納得いってないふうに言う。
「工藤君が会いたくて側に居たいって思う人間は平次とちゃうねんよ」
「そないな事言われんでも分っとるわ」
「せやったら!!周りの人間が誤解するようなこと言わんといて」
誤解するような言い方オレしたか?
たまぁに和葉の言いたいことが分らんようになる。
和葉が何で怒ってんのかも分らんし。
「〜♪あれからぁ僕たちはぁ何かを信じてこれたかなぁ夜空のぉ向こうにはぁ明日がもうまぁっているぅ〜♪(着メロsong bySMAP 夜空ノムコウ」
和葉の着メロが鳴り響く。
「誰や?」
「蘭ちゃんや」
着信ナンバーを見ながら和葉は言う。
「もしもし、蘭ちゃん?」
和葉はそう言って出る。
「うん、工藤君ち?ちょー待って。平次、工藤君ち知ってる?」
和葉が聞く。
いくら工藤フリークのオレでもさすがに家まではわからへんよ。
「うん、平次もしらんみたい。工藤君ち、にウン分った、ウン米花2丁目の交差点を左やね。分った今から行くわ」
そう言って和葉は携帯を切る。
「なんやって?」
「今、工藤君ちにおるんやって。場所聞いたから」
「なんで、工藤んちにねーちゃんはおんの?」
「知らんよ。そんなん」
オレの質問に和葉はそっけなく切り返す。
何でそんなん怒っとんのや?
訳分らんわ。
ともかく元来た道を戻り、探偵事務所の前をすぎ米花2丁目の交差点を左に曲がる。
数メートル歩いた閑静な住宅街の一角に大っきい屋敷があった。
「ここかな、工藤君ちって」
「そう、みたいやな」
もんのところに掲げてある表札には工藤ってなっとる。
「和葉、他に工藤っちゅうとこあるか?」
「ない、見たいや……隣阿笠ってなっとるし」
「んじゃあ、ここやここが工藤んちや」
オレの言葉に和葉はその大っきい屋敷を眺める。
「めっちゃ広い洋館やなぁ」
「ホンマやね。平次の寝屋川のうちどっちが大っきいかな?」
「さぁ、うちは和風やけど、ここは洋風建築やしなぁ」
「工藤君の親って何やっとんの?」
オレは和葉の言葉に驚く。
知らんかったっけ?
「工藤のオヤジさんは有名な推理小説家の工藤優作やって」
「ほんまぁ?前写真見たことあるけど、めっちゃ男前やったよ。なんやダンディな叔父様って感じやった。そういやぁ工藤君も大人になったらそんな感じやろうね」
和葉の口から男を褒める言葉聞くと何かムカツクんは何でやろう。
芸能人のこと言うんはまだ許せる。
せやけど、自分が知ってる人間を褒めるのを聞くんは嫌や。
でも、何でやろう。
まぁ、工藤やったら解いてくれんのやろ。
そう思ってオレは、門のインターホンを鳴らした。
でも、何でやろう。