Many Classc Moments song by : globe(album Light1)words by Tetsuya Komuro

 神は『それ』を見て『彼』咎めるのだろうか…。
『それ』を望んだ『彼』を見逃した『彼』を…。
 そして、その『罪の重さ』故に『それ』を望んだ『彼』を、『罪』から逃がした『私』を…。

 この中で一番罪深いのは…?
 そう尋ねられたら、一番罪深いのは私なのかも知れない。




『彼』が側にいてくれることを望んだのだから…。

*****

「おぉ、哀くんか…。少し、手伝ってくれんかの?」
 研究所に顔を出した瞬間、博士に言われる。
「博士、天使が死神に頼み事をするもんじゃないわ。で、どうするの?」
 彼の行動を咎めた後、私は彼の言うとおりにする。
「ウム、これの実験じゃ!!!」
「また実験なの?役にたたない実験、必要ないじゃない。役にたつ実験ならましだけど」
「哀くんもやっぱり『新一』の様なことを言うんじゃのぉ」
 …一瞬、空気が怯える。
「博士、『その名前』はだめよ」
「そうじゃった…。哀くんの前じゃとつい油断していまうんじゃ…」
 気をつけんといかんのぉとのんきに博士付け加えながら実験の準備を進める。
「で、そう言えば『江戸川』くんはどこに行ったのかしら?さっきから姿が見えないのだけど」
「本当か?」
「えぇ、『どこにも』いないわ。博士、しっかりしてよね。彼の教育係じゃなかったの?」
「全くのぉ。そうなんじゃが…。コナンの居場所じゃったらきっと、『狭間』じゃろう」
 思い出したかのように博士は言う。
「またなの?彼は見つかると言うことを考えていないのかしら?」
「さぁのぉ。一応考えてはいるじゃろう。あれでも天使長『江戸川コナン』なのじゃから」
 博士はやはりのんびりとつぶやく。

「知らないの?『江戸川』くんが何の為に『狭間』に向かうのかを」

 思わず…口から出そうになる。
 狭間…それは人の世界。
 光の世界の天界と闇の世界である魔界のちょうど狭間にある。
「気付いてないの?」
 そんなわけない。
『彼の天使長』が魔界へ堕ちた時、博士が『彼』に代わり、『江戸川』くんを育てた。
 その博士が知らないはずない。
 その博士が…気付かないはずなんてない。
 何故、江戸川くんが『本来の名』を捨て『江戸川コナン』と名乗っているのか。
『江戸川』くんから魔界のにおいがすることを。
 博士は知っているから?
 それ以外考えつかない。
「いいの?博士…、止めなくて」
「いいことは…ないじゃろうな…。じゃが、言っても聞かんしのぉ」
「あきれた、だから見逃しているの?」
「そうじゃな」
 そう言って、博士は実験を始める。
 博士の真意がとれなくて私は一つ息をついて博士の部屋から出ていく。
 外に出ると、部屋をうかがっていた天使が一気にいなくなる。
 死神である私が天界に入っても、誰も咎める者はいない。
 咎めることが出来ないのだ。
 私の背にある強大な『鎌』のせいで。
 死神の証。
『死』と言う運命を与えるもの。
 ……これを見て天使達は怯えるのだ…。
 死の背後にある物を恐れて…。

*****

 狭間…人の世界に降りるとそこは光あふれる夜も眠らない街だった。

 一仕事終え、冥界の扉を開こうとした時、それは目に入った。
 美しい妖姫と、片翼に天使の翼を携え、片翼にコウモリの…悪魔の翼を携えた…エンジェルリングを持つ…少年。
 人の世界の年で考えれば…二人とも17歳と言った所か。
 人目もはばからず…仲むつまじくしているのを見てほほえましく思いながらも…その後に控える物を思うとただ、見ているだけというわけにもいかなかった。
「何してるの?お二人さん」
 そう言った私に、二人はハッとしてこちらを見る。
「シェリー…何しに来たんだよ」
「結構な言いぐさね、『江戸川』くん?。蘭、元気そうね」
 軽く『江戸川』くんの言葉を返して側の妖姫に話しかける。
「シェリー、今日もお仕事?」
「えぇ、そうよ」
 美しい、姫。
 絹糸の様な艶やかな黒髪、濡れぼそった瞳、白磁機を思わせるみずみずしい肌、赤く熟れたリンゴのような口唇。
 あでやかな蘭の小袖と打着を身にまとった彼女。
 一目見れば魅了される魔界の妖姫。
 彼女は…いや『天使長』である『江戸川』くんはあろう事か彼女に惹かれた。
 そして彼女も『江戸川』くんに惹かれた。
 天界の者と魔界の者がふれあうのは禁忌そのもの。
 それでも…。
「江戸川くん」
「シェリー、何度も言うようだが、今のオレは『江戸川コナン』じゃない。『工藤新一』だぜ」
 江戸川…工藤くんは私の呼び方を訂正する。
「そうね、じゃあ、改めて。工藤くん、そろそろ戻った方がいいんじゃない?あなたの…いえ『江戸川コナン』の部下が来る頃じゃないの?」
「え…じゃあ、わたし、戻った方がいいよね」
 蘭が私の言葉にあわてる。
「そうね。蘭、あなたの気配の痕跡は私が消しておくわ」
「ありがとう、シェリー。今度、魔界に来た時にはよってね」
 蘭の申し出に私は笑顔で答える。
「えぇ、よらせてもらうわ」
「それじゃ…。新一、またね」
「あぁ…蘭。またな」
「うん」
 艶やかに微笑んで彼女は魔界へと消えていく。
 それと入れ違いに6枚の羽を持つ天使が舞い降りてきた。
「コナンくん、探しましたよ」
 6枚の羽の天使は私の隣にいる12枚の羽を持つ天使長『江戸川コナン』に話しかける。
「あっ、探さん、わざわざ捜しに来てくれたの?ありがとう」
「心配いたしました。ココ一帯で上級悪魔の気配を察知したものですから」
 そう天使『白馬探』は『江戸川』くんに向かって言う。
 神は…いや天使の中で、重鎮と呼ばれる者は彼『江戸川コナン』が魔に触れることを極端に恐れている。
 理由は彼の父親が天使長でありながら魔に触れ闇へと堕ちていったからだ。
「大丈夫だよ、シェリーも一緒だったからね」
『江戸川』くんの言葉に天使『白馬探』はココで初めて私を見る。
 天の御使いは…私…『死神』の存在を快く思わない。
 もちろん、『白馬探』も例外ではない。
「なおの事、心配です。早急に天界へと戻りましょう。我らが父がお待ちですよ」
「分かった。でも、先に戻ってて大丈夫だよ。僕、ちょっとシェリーとお話したいんだ。だめかな…いいよね」
 江戸川くんの言葉に『白馬探』はちらっと私を見て答える。
「では、ほんの少しですよ。またお迎えにあがります」
 そう言って、白馬探は東の方へと飛んでいく。
 その方角で。愉快な上級悪魔(きっと怪人キッドね)の気配がしたから。
「相変わらず、過保護ね」
「まあな…」
 片翼のコウモリの翼を持った姿…『工藤新一』へと『江戸川コナン』は変わる。
「父さんの件があるからな…。あれがなければ、これほどじゃなかったはずだぜ」
「神はよほどあなたが堕ちるのが嫌なようね」
「そうでもないぜ」
 工藤くんは何かを思い出すかのように言う。
「知らない振り?見て見ぬふりしてるの?」
「そんな所だろ?」
 楽しそうに、工藤くんは笑う。
「一つ、忠告しておくわ。『死神』として」
「何だ?ま、だいたいは想像出来てるけどな」
「そう、なら、蘭と逢うのはやめなさい。これ以上、均衡を破るつもり?狭間の均衡を取るのは江戸川くん、『天使長』であるあなたの役目でもあるのよ。もしかして…属性崩壊を天界でやらかすつもりじゃないでしょうね。後始末するのは私なのよ?」
「…シェリー」
 私の言葉を遮るように工藤くんは私の名前を呼ぶ。
「何?」
「お前に…今の状況を話しておく。正直な所、今、一人では『江戸川コナン』を維持出来なくなっている。現にこうして邪でも正でも光でも闇でもない『死神』のお前が側にいてもこのザマだ…」
「工藤くん?。崩壊が…始まっていると言うこと?」
「微妙に違うけどな…。ま、そんな所だ。『神気』が存在しない所だとオレは『江戸川コナン』に戻らず、耐性の強い…どちらかといえば『魔』の存在である『工藤新一』になる。堕ちるより楽だろ?耐性の強い『工藤新一』に戻るんだから…」
 自嘲気味に話す彼を見ていてふと…あの人の姿が浮かぶ。
 穏和な性格をそのまま表しているあの体型を持つ…博士を。
「博士は…知ってるよ。博士は…この事を知っている」
 私の心を見透かすように工藤くんは言葉を紡ぐ。
「シェリー…頼みがあるんだ…」
 彼の言葉に私は目を伏せた。
 私は…彼が何を言いたいのか見当がついていた。
「それ…本気で言うつもり?」
「……出来るだろう?」
「…博士は…あなたのことを思ってるのよ。ちゃんと考えていてくれてる博士を…あなたは」
「…シェリー、お前だって博士の事思ってるだろ?」
「工藤くんっ!!!」
「おれじゃあ…どうしようも出来ない。博士にしてやれることがない。けど…お前は違うだろう。…シェリー…こんな事頼めるのはお前しかいないんだ…」
 白馬探の姿を目の端に入れ、彼は『工藤新一』の姿から天使長『江戸川コナン』の姿へと変わる。
「じゃあ…な。シェリー」
 そして…天界へと消えていった。
「勝手よ…」
 という私のつぶやきを聞かないで…。

 博士が…『マテイ』という牢に幽閉されたと聞いたのはそれから1週間たった後の事だった。

*****

「死神シェリー何しに来た!!!!」
 見張り役の天使が私の進行を止める。
「誰の許しがあってココに来た!!!」
 彼等の声を私は無視する。
『江戸川』くんは博士が幽閉される前、この天界より行方知れずとなった。
 その罪を問われ博士は『マテイ』に幽閉されたのだ。
「シェリー、これ以上進めば、汝もただでは済まぬ」
「うるさいわね…。あなた達、わたしは天使じゃないわ。私は死神。ただでは済まないってどういう事?あなた方に危険でもわたしには危険じゃないの。分かってるわよね」
 そう言いながら私は背の『大鎌』を取り出す。
「これ以上、私に対する干渉が続くなら、あなた方に対して、力を行使しても構わないのね?せっかく違う領域だからって大人しくしてるの。その配慮を分かって欲しいわね」
 それを聞いて天使は後退し道を開けた。

*****

「博士…」
『マテイ』の一番奥の部屋…そこに博士は幽閉されていた。
「おぉ、哀くんか。元気そうじゃな」
 私を見るなり、彼は満面に穏やかな笑みを浮かべる。
「呑気に言ってる場合?江戸川くんが天界から消えた責任をとらされているのに」
「聞いたんじゃろう?」
「何を?」
 彼はゆっくりと天を仰ぎ見、私の言葉の間に博士はニッコリと微笑み私に結界を張るよう促す。
 天使が介入することの出来ない結界を…。
「聞いたというの」
「…新一くんの状態をじゃよ」
「…神気の感じることの出来ない所では…『江戸川コナン』を維持することが出来なくなった。自業自得じゃない。何度も何度も、狭間に行って。人の邪気。悪魔の妖気、その他の霊気ばかり浴びていれば『江戸川コナン』を維持出来なくなるのは当然じゃないの?」
 一気に言葉をはき出した私に、博士は、反論する。
「違うんじゃ。哀くん」
「違う?…なにが?」
「新一くんが『コナン』を維持出来なくなったのは何度も狭間に行っていたせいじゃないんじゃ…」
「博士…?」
 少しの沈黙の後博士は私に問い掛ける。
「…彼の…新一くんの父親は誰じゃ?」
「…先の天使長…かの『天に弓なした天使』と同等の力を持った天使『工藤優作』」
「では…母親は?」
「…天の神の妻として生まれた天使…藤峰有希子…博士?」
 博士の…意図が…。
「……」
 理解までに時間がかかった。
「博士…まさか、こうなることは予想済みだった訳?『江戸川コナン』が『工藤新一』へと堕ちる。こうなると予想して、神は、博士に生まれたばかりの天使と悪魔の翼を片翼ずつ持った工藤くんを博士に預けたと言うわけ?いつか堕ちると知っていて?悪魔の翼を封印してまで『江戸川コナン』として…『天使長』にするべく育てたの?」
「……そうじゃ…」
 そんな…。
「その結果…『江戸川』くんは行方不明になって…博士あなたはその責任を取らされてこの『マテイ』に幽閉されている…。無茶苦茶じゃない。博士、どうしてそれを黙って受け止めているの?どうして、そんな風に穏やかに微笑んでいるの?どうして?」
「…哀くんには…話しても平気じゃろう」
 そう言って…博士はその背の羽を広げる。
 …12枚の…翼。
『天使長』になる者は12枚の羽が必ず存在する。
 現、天使長である江戸川くんはもとより…。
 今は魔界の王となっている優作さんもその背にある12枚の羽を見せてくれる(もっとも、今は天使の翼ではなくなっているけれど…)。
「博士が…天使長だなんて…知らなかった…」
「この事を知っておるのは『神』と優作くんのみじゃ…。儂が…新一くんを引き取ったのは…優作くんの事があったからじゃ…」
「…博士?どういう事?…『死神』である私でさえ知らなかった博士の『天使長』証であるその12枚の羽…。それがどうして工藤くんを引き取る理由が…優作さんに?」
 自分で何を言っているのか分からなくなる。
「儂は…優作くんと有希子さんの事を知っていたんじゃ…。知っていてそれが『大罪』と知りながらあの二人を止めることをしなかった…」
「……」
「神は儂が知っていることを『知って』おられた。その上で、儂に言ったんじゃ『天使長』と『神の妻となるべき娘』の子をお前が育てろ…と。そして、工藤新一が成長するまでの短い間。『天使長』をつとめよ。ただしその事を知っているのは神のみでいい…」
「…何を考えているのよ神はっ」
「その事について、儂が言えることは何もない…。…儂ら、御使いは神の御心のまま動いているんじゃからの」
 博士はそう小さくつぶやく。
「神は…工藤くんが『こう』なることを知っていた」
「そうじゃ」
「それを…分かっていながら…博士に育てることを命じた」
「そうじゃ…」
「…江戸川くんが狭間へ行き、魔王(この場合優作ではない)の娘であり魔界の妖姫で蘭と恋仲になり、墜ちるのを知っても博士は止めない…。と神は分かっていた」
「…そうじゃ…な…」
 博士は私の言葉にゆっくりとうなずいた。
 …博士が哀れに思えた。
 神の意のままに行動している博士を…。
 それと同時に神に憤りを覚えた。
 身勝手な神に。
 …ふと思った。
 工藤くんはもしかすると知っていたのかも知れないということを。
 天使の行動は『すべて神の心のまま』だと言うことを。
 私は死神。
 天使は私を嫌う。
 神の命に従って行動していると思っている自分達の邪魔でしかないからだ。
 永遠の時を過ごす死神。
 それを苦と思ったことはない。
 それが当然のことだから。
 万物に平等に与えることが出来るのは生ではなく死なのだ。
 わたしはそれを与えるもの。
 神でさえ、その領域に入ることは出来ない。
 もう一つの力…。
「博士、何?能天使?それとも大天使?」
「権天使じゃよ」
 だから私に頼んだのかも知れない。
 江戸川くん、あなたの頼み、聞いてあげられそうよ…。
 背にある鎌を取り出し、結界をなぎ払ってから私は博士に問い掛ける。
「天使階級、下級第一位、権天使(プリンシパリティウス)天使名『阿笠博士』。汝に今より選択を与える。永遠にこの業火の中に留まるかそれとも、わが力によって断ち切るか。選択せよ」

 そして…私の願いでもある。

 博士が子供のように工藤くんを思っているように…私は親の感覚以上に博士を思っている。
「我が名は死神。汝が選ぶのは、苦しみの後の消滅か。未来永劫の時か…」
「一つ聞いてもいいか?」
「構わないわ」
「…優作くんには…逢えるかのぉ」
 ゆったりとした笑顔で博士は私に問い掛ける。
 それが…答えね。
「我が名は死神。我が力によって汝の時を止める」
 鎌で博士の頭上にあるエンジェルリングを切り裂く。
 天使に取っての死は消滅。
 エンジェルリングの崩壊は未来永劫の生き続けるか…闇に堕ちるか。
 ぼろぼろに壊れるのは闇に堕ちた証拠。
 切り裂いたのは…未来永劫生き続ける事。
 外から聞き耳を立てていた天使の叫び声が聞こえる。
 怒声が聞こえ私と博士がいた部屋の扉が開く。
「死神シェリー、博士に何をしたっ」
「見れば分かるでしょう?白馬くん」
「クッ」
 私は博士を連れ、立ちつくした白馬探の隣を抜けて部屋の外へと出る。
 火柱の牢を抜け、石の廊下に出ると素早く、冥界への通路を開ける。
「シェリー。権天使阿笠博士をはなせっっ」
「無駄よ。もう、彼は天使じゃないわ。見れば分かるでしょう?」
 私の言葉に背後に近付いてきた天使は黙り込む。
「…様っ。こちらですっ」
 遠くから強大な神気が近づいてくる。
「この気は…」
「博士、何もしゃべらないで」
 そう博士に言った瞬間、強大な神気を持った天使が私達の目の前に立ちはだかる。
「シェリー、久しぶりだな」
「久しぶりね、ジン。まさかあなたが出てくるとは夢にも思わなかったわ」
「相変わらず、勝手なことをしてくれる。まさか、このままそいつを連れて逃げ出そうと思ってる訳じゃないだろうな」
「そのまさかだと言ったらどうする?どのみちあなたじゃ、私に立ち向かうことは出来ないでしょうけどね」
 そう言って私は博士を冥界の穴へと引き入れ、穴を閉じた。

*****

「よかったのじゃろうか…」
「いいのよ。別に。ジンじゃ、私に立ち向かうことは出来ないんだから。セフィロトの天使だとしてもね」
「それでも、あやつは次期天使長と言われてる男じゃぞ?」
「博士、私は死神よ。神の御使いごときに倒されたりしないわ」
 私の言葉に博士は苦笑する。
「さて、この後どうするの?このまま進んで門番にあっておく?それとも魔界に行く?優作さんに逢いたいって言ってたわよね」
「そうじゃなぁ。このまま魔界に行けるのか?」
「行けるわよ」
 博士と共に魔界へ行く。
 今頃…工藤くんはどうしてるのかしら。
 もう、蘭と共にいるのかも知れない。
 属性崩壊の波動を感じたから。
 またあの余波を喰らってどのくらいの命が冥界へと来るのだろうか…。
 仕分けの作業は部下の仕事だから問題ないけど…。
 にぎやかな西国の二人も…こっちに来ているのだし、トリックスターなキッドも何かやらかしてくれる。
 永遠の時を過ごす死神であることがつまらないと思ったことはないけれど。
 きっと楽しくなる。
 そんな気がする。

「哀くん、ありがとう」
 優作さんに逢った後、博士にそう言われた。
 それだけで…もう心が躍っていた。

*あとがき*
博士と哀の物語。
この悪魔快斗&人間青子のお話の哀ちゃんは博士とカップリング!!!
ジンは出したかったキャラクター。
でも、ジンの声は池田秀一さんで。
……まだ、赤井秀一ががFBIの人間だと知らない前に書いたので、ジンのイメージは池田秀一さんなのだ。
書きたかったところは哀が博士のリングを壊すところ。
ジンの魔の手から博士を守るところはおまけ。