Happy!!!〜80階建てのビルの屋上で〜
 強い風の音が聞こえる。
 その音に目を開けると、星の輝きが目に飛び込んできた。
 ここは、どこだろう。
 まだ、はっきりとしない頭で考える。
 青子がいた所は都心で。
 星が輝くほど見える所は限られていて。
 見えても数えられるぐらいで。
 じゃあ、ここはどこだろう。
 体を起きあがらせて気が付く。
 青子の下には一枚の布が敷かれていた。
 しかも、レース。
 なんで、こんな所にレースの一枚布があるの?
 あたりを見回すと、一段高い所に星空をまぶしそうに見上げている、白き怪盗。
 風の影響で、その白いマントははためいている。
「き、キッド!っていうか、快斗、何でキッドの格好してるのよ」
「おはよう、青子」
 ストンと軽やかに快斗は青子の所に降りてきた。
「おはようじゃないでしょう?快斗ね、青子の事こんな所に連れてきたのはっっ」
 はっきりと思い出す。
 家への帰り道に快斗に会ったことを思い出す。
 で、青子は快斗に気絶させられちゃった訳だ。
 多分、なんかの薬かがされて。
「サイテー!!!!」
「いきなり、それかよ」
「自覚してる?」
「一応してます。でも、青子には内緒で、ここに連れてきたかったんだ」
「ここって、どこよ」
「では、青子さん、この私の手をとり、どうぞ立ち上がってみてください」
 キッドの口調の快斗の手をかりて青子は立ち上がる。
 眼前に広がるのは都内の明るい光。
 ここはつい最近出来た噂のTowerの最上階らしかった。
「快斗?!なんでここに青子達いるの」
「無断侵入?」
 青子の言葉に楽しそうに快斗は答える。
「ますます最低っ」
「だって仕方ねぇじゃん、青子にこの景色見せたかったんだし」
「そう言う問題じゃないでしょう!!!無断侵入ってお父さんにばれたらどうするのよ」
「ばれてるって、俺、この格好だし」
 そう言って快斗は青子の事をマントでつつむ。
「もうもう、快斗がキッドやってるのって青子、本当に心配なんだからね」
「分かってる」
「分かってないっっ」
「分かってるよ。だから、青子をここに連れてきた」
 快斗は真剣な表情で青子を見つめる。
「どういう事?快斗」
「青子さん、ココから見える全ての景色をあなたに差し上げます。わたしのプレゼントを受け取っていただけますか?」
 へ?
 ど、どういう意味?
 快斗の言葉の意味が取れなくって混乱する。
「全部のものを青子にあげたい」
 快斗の声が、静かに青子の中に落ちていく。
「オレがあげられる物全て、オレが手に入れられる物全て。何もかも青子にあげたい。青子、オレと結婚してくれ」
 快斗の深い深いミッドナイトブルーの瞳がモノクルの奥で微かに不安で揺れ動く。
「一つ聞いて良い?」
「何?」
「青子で、いいの?快斗の側にいるのは青子でいいの?それ、教えて」
「青子じゃなきゃ駄目。他の誰でも違和感ありすぎ。青子じゃなきゃ、どうしようもない」
「ありがとう」
 快斗の素直な言葉に思わず照れてしまう。
「青子、返事、聞かせて欲しいんだけど」
 少し掠れる快斗の声。
 そうだ、良いこと、思いついた!!
「快斗、青子と結婚してください!」
「ハ?」
 青子の言葉に快斗は『鳩が豆鉄砲食らった』という言葉通りに驚いている。
「は、じゃないでしょう!!青子と結婚してって言ってるのっ」
「あのさぁ」
「青子、夢だったんだよね、プロポーズっっ。逆プロポーズっていうの?青子、してみたかったんだ」
 そう、結構女の子から言うのっていいんなぁって思ってたんだよね。
「オレ、もうしてんじゃん」
「いいの、気にしないっ」
「まぁ、いっか」
 そう言って、快斗は、青子の下に敷いていたレースの布を青子にかぶせる。
「青子さん、この塔から見える星空とあなたに誓って、あなたを幸せにします」
「快斗、気障だよ。もしかして今、怪盗キッドモード?」
「青子専用だけどな」
「まぁ、快斗は快斗だもんね」
「そう言うことで、青子は?何に誓う」
 え、青子も言うのぉ?
「オレ一人だけって無しだとおもわねぇ?」
「青子も快斗と一緒、ここから見える綺麗な星空と、快斗に誓って。快斗の事幸せにするからね」
「了解!!」
 そう言って快斗は青子にキスをする。
 コレも結婚式って言うのかなぁ。
 って言うか、プロポーズと結婚式一緒っていうのどうかなぁ。
 でも、星空の下って言うのも良いよね。
 それでも、やっぱり青子ウェディングドレス着たいなぁ。
 お父さんに見せてあげたいし。
 やっぱり、快斗にも見せてあげたいもんね。
「快斗、大好きだよ」
「俺も、青子の事大好きだよ」
*あとがき*

快斗×青子プロポーズ〜結婚式(~_~;)。
一応快斗の誕生日に合わせたのですが、2日遅れました。
そして祝ご結婚。
原案って言うか、元々は以前きま様に頂いたイラストにのせたくっつけた小説の改訂版です。
今回は、公開します!!!別ページを作るのも面倒なので、同ページにペチリ。

これですよ、これ。
光彦×哀小説(君についたホントのうそ内)で書いたその後の6人のネタに反応されたきま様に描いてとおねだりした結果です。
まさか、本当にこれがこんな風に使われる日が来るなんて………思ってもみませんでした。
その節は本当にお世話になりました。
そして、青山先生、みなみさんおめでとうございました。