間に合わなかったので、短文で。
ドカス愛してる!!!
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【ハッピーカースデー】
大将一人に幹部が六人。一人、と数えるには少々難のあるキュンキュンと煩い『一機』を除けば、十二ヶ月のうちの半分は誰かしらの誕生月にあたっていることになる。
自分は決してマメな方ではなく、誰のそれでもルッスーリアの焼いたケーキに特別なものを感じて『そういえば』ということが多い。
むしろメンバーの誰もがそんな具合なのだが、それぞれが一応はプレゼントらしきものを寄越してくる辺り、律儀な暗殺部隊だと思う。
「おー、食った食ったぁ」
いつもより少し多めに取り分けられた食後のケーキのおかげでぽっこりとした腹を撫で擦る。
この膨らみには、誕生日だから王子のニンジンやるよ、なんて言葉とともに押しやられたコンポートの分も入っているだろう。
嫌いなものを押し付けんな、と言いながらフォークを突き立てたスクアーロに、我儘王子はいつもの調子で笑って見せた。
マーモンからは念写一回分の10%割引クーポン券をもらった。裏側に印字されたカレンダーのものらしき数字とマジックの染みに手作り感の溢れる力作だった。
目覚まし時計という珍しくまともなものを寄越したレヴィには、つまり今日の朝礼に遅れたことへの嫌味のつもりだとわかり、少しだけイラッときた。
特別なような、そうでないような、居心地の悪さと良さが同居したようなディナーは、胃袋以外の場所も満たしてくれたような気が、少しだけした。
「…………」
けれど先に立ってしまったアイツは、特に何も寄越さなかった。
あの男が自分に寄越すプレゼントなんて想像もつかなかったからむしろ「ああやっぱり」と思っただけだった。
ただ、いつものように「後で部屋に来い」という一言すら寄越されなかったことが気にかかった。
物が欲しかったわけじゃない。
ただ―――。
「…クソ」
込み上げてくる感情に唇をヘの字に曲げる。
いつの間にかたどり着いていた自室のドアを、溜息とともに大きく開けた。
そう広くはない部屋だ。開ければ、窓際に置かれたベッドが見える。
「……う゛お゛ぉい」
思わず唸ってしまった、その声に驚き以外のものが滲み出てしまわなかっただろうか。
「遅ぇ。ちんたら食ってんじゃねえよカス」
言葉とは裏腹に、唇を笑みの形にニッとゆがめて、ザンザスがベッドの上に靴のままあがりこんでいた。
あぐらをかいたうえに肘をつき、頬杖をついてずいぶんと退屈そうなポーズで。
その周囲には、退屈しのぎに子供が散らかしたみたいな惨状で、見慣れないものが散らばっている。
「なんだぁ…?」
近づいてつまみあげる。
ピンク色の怪しい液体の入ったビン。
卑猥なスラングの書かれたチューブ。
あからさまな形をした電気製品は決して肩こり用のマッサージ器じゃないはずだ。
似たような、けれどひとまわり小さい大きさのそれには獣の尻尾のような飾りがついている。
お揃いなんだろう、犬のような耳のついたカチューシャが爪先にひっかかった。
「て、てめぇなぁ…」
ヒクリと頬がひきつるのを抑えきれない。
「テメェの喜びそうなモンが思い浮かばなかったんでな、一通り揃えてやった」
喜べ、とでも言いたげな口調に、ニヤニヤとした笑み。
不意にザンザスの片手が動き、彼の背後にわだかまっていたものを顔めがけて投げて寄越した。
広げてみれば、目の覚めるような赤。
レースとリボンがたっぷりあしらわれた、どう見ても女物ではありえない大きさのベビードールだった。
「選ばせてやる。どれがいい?」
透かして覗いた向こう側から意地の悪い声。
オレはどれでも構いやしねえと、今にも噴出しそうなのを堪える様子で。
「―――ッ、アンタ以外いらねえよ!」
こう言えば満足か、この意地腐れ野郎!
たまらずぶはっと笑い出した男の口を、とりあえず唇で塞いで黙らせて。
その晩、ベッドの上のどれが一番活躍したかって?
オレ自身に決まってるじゃないか、と翌朝ふて腐れた気分で呟いていた。
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個人的には、XSでもありSXにもなるように書いたつもりです。
ザンザスなら攻スクにも持ってくるよ、ベビド!
スクアーロ、ハピバー!