試験に役立つ?法人税の要点



リース取引

売買とされるリース取引


売買とされるリース取引

 まずは、施行令の該当部分を読んでみましょう。

第百三十六条の三 内国法人がリース取引をした場合において、そのリース取引が次のいずれかに該当するもの又はこれらに準ずるものであるときは、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があったものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算するものとする。

 リース期間(リース取引に係る賃貸借期間をいう。以下この項において同じ。)終了の時又はリース期間の中途において、リース資産が無償又は名目的な対価の額で当該賃借人に譲渡されるものであること。

 当該賃借人に対し、リース期間終了の時又はリース期間の中途においてリース資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること。

 リース資産の種類、用途、設置の状況等に照らし、リース資産がその使用可能期間中当該賃借人によつてのみ使用されると見込まれるものであること又はリース資産の識別が困難であると認められるものであること。

 リース期間がリース資産の第五十六条(減価償却資産の耐用年数、償却率及び残存価額)に規定する大蔵省令で定める耐用年数に比して相当の差異があるもの(当該賃貸人又は当該賃借人の法人税又は所得税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限る。)であること。


  これは、一〜四のいずれかに該当すれば、そのリース取引は売買とされて、 せっかく払った(経費にした)リース料が、減価償却費となるため、限度額を 超える分は、損金不算入になる。経営者にとっては、通常の取得の場合と比べ、コスト 意識が高い分、なんとも理不尽な気持ちにさせられる。。。

  さて、まず、注目していくのは『相当の差異があるもの』についてである。
これについては通達が用意されているので読んでみましょう。

(相当の差異の意義)

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の2−2−7 令第136条の3第1項第4号《売買とされるリース取引》に規定する「相当の差異があるもの」とは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定めるものとする。(平10年課法2−15「4」により追加)

(1)

 リース期間が耐用年数に比して短い場合 当該リース期間がリース資産の耐用年数の100分の70(耐用年数が10年以上のリース資産については、100分の60)に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を下回る期間であるもの

(2)

 リース期間が耐用年数に比して長い場合 当該リース期間(再リースすることが明らかなものについては、当該再リースに係るリース期間を含む。)がリース資産の耐用年数の100分の120に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り上げる。)を上回る期間であるもの

(注)

 一のリース取引において耐用年数の異なる数種の資産を取引の対象としている場合(当該数種の資産について、同一のリース期間を設定している場合に限る。)において、それぞれの資産の耐用年数を加重平均した年数(リース料の額の合計額又は賃貸人における取得価額をそれぞれの資産ごとに区分した上で、その金額ウェイトを計算の基礎として算定した年数をいう。)により、上記の判定を行っているときは、これを認めるものとする。


 つまり、リース期間<耐用年数×70%(又は60%)のとき、 又は、(リース期間+再リース期間)>耐用年数×120%のときは、 『相当の差異がある』ので、売買とされる。

 では、次に、『その使用可能期間中当該賃借人によつてのみ使用されると見込まれるもの』 とは、どういうことなのか?
 これについては、機械装置等を対象とするものについて、通達が用意されているので読んでみましょう。

(形式基準による専用機械装置等の判定)

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の2−2−5 機械装置等を対象とするリース取引が、当該リース取引に係るリース資産の耐用年数の100分の80に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)以上の年数をリース期間とするものである場合は、当該リース取引は令第136条の3第1項第3号《売買とされるリース取引》に規定する「その使用可能期間中当該賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの」には該当しないものとして取り扱うことができる。(平10年課法2−15「4」により追加)


 つまり、リース期間≧耐用年数×80%なら、『その使用可能期間中当該賃借人によつてのみ使用されると見込まれるもの』には、該当しないので、売買とはされない。
 さて、先に紹介した『相当の差異の意義』の通達では、120%を超えるものについては、売買とされるので、80%〜120%なら、リースとして扱える可能性があることになるのだが、『相当の差異の意義』の通達では120%については、再リース期間が含まれている。つまり再リース期間が全体の3分の1を超えるようなものなら、リース期間だけでみると80%未満になってしまう。そうなると、これらの通達では判断が出来ないことになるので注意が必要になる。


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