試験に役立つ?法人税の要点



減価償却

堅牢物 陳腐化償却(資本的支出がある場合)


堅牢物−資本的支出をした場合 (基通 7-4-15)

 まずは、施行令の該当部分を読んで見ましょう。

第61条第2項 内国法人がその有する減価償却資産につき当該事業年度の前事業年度までの各事業年度においてした償却の額(括弧書き略)の累積額が当該資産の取得価額の百分の九十五に相当する金額に達している場合において、その内国法人が当該事業年度開始の日から当該資産が使用不能となるものと認められる日までの期間(以下この条において「残存使用可能期間」という。)につき納税地の所轄税務署長の認定を受けたときは、当該資産については、第五十八条、前二条及び前項の規定にかかわらず、当該資産の取得価額の百分の五に相当する金額から一円を控除した金額をその認定を受けた残存使用可能期間の月数で除し、これに当該事業年度以後の各事業年度に属する当該残存使用可能期間の月数を乗じて計算した金額をもって当該各事業年度の償却限度額とみなす。

鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、れんが造、石造又はブロック造の建物

 鉄筋鉄骨コンクリート造、鉄筋コンクリート造、コンクリート造、れんが造、石造又は土造の構築物又は装置


 これは、償却の額の累計額が取得価額の95%に達しているとき(つまり簿価が取得価額の5%に達したとき)でも、 一定の資産については、残存価額として1円を残して償却していけるのだが、その資産について改良(資本的支出)をした場合には、 どうなるのだろうか。
 これについては、次の通達があるので読んでみましょう。

 (償却可能限度額まで償却した資産の改良後の減価償却)

7

−4−15 法人が令第61条第2項《減価償却資産の償却可能限度額の特例》の規定による償却をしている資産について資本的支出をした場合には、その後の償却限度額の計算は、次による。(昭55年直法2−8「二十二」、平10年課法2−7「七」により改正)

(1)

 資本的支出をした後の帳簿価額が資本的支出後の当該資産の取得価額の5%相当額に満たないときは、当該帳簿価額を基礎とし、新たにその時から使用不能となると認められる日までの期間を基礎とし適正に見積った月数により計算する。

(2)

 資本的支出をした後の帳簿価額が資本的支出後の当該資産の取得価額の5%相当額を超えるときは、5%相当額に達するまでは法定耐用年数によりその償却限度額を計算し、5%相当額に達したときは、改めて同項の規定により税務署長の認定を受けた月数により計算する。


 (1)は、(資本的支出後の簿価)<(資本的支出後の取得価額×5%)のときには、 『新たにその時から使用不能となると認められる日までの期間を基礎とし適正に見積った月数』で計算する。
 つまり、 (資本的支出後の取得価額×5%−1)÷適正に見積った月数×その事業年度に属する当該残存使用可能期間の月数 ということになる。

 (2)は、(資本的支出後の簿価)>(資本的支出後の取得価額×5%)のときには、 5%相当額に達するまでは、通常どおりに法定耐用年数により、償却限度額の計算をして、 5%相当額に達したときは、改めて同項の規定により税務署長の認定を受けた月数により計算する。
 さて、ここで、『改めて同項の規定により税務署長の認定を受けた月数』とは、何か?
 これは、『改めて』『同項の規定により税務署長の認定を受けた月数』(つまり、前に認定を受けた月数で計算する)のか、『改めて同項の規定により税務署長の認定を受けた』『月数』(つまり、5%相当額に達したときに、新たに認定をうける)のか、読み取りが難しいところだが、ここは、後者、つまり、 改めて認定を受け直すことになる。

 【ネタ元:小谷講師のこぼれ話】
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陳腐化資産に資本的支出がある場合の修正帳簿価額の計算 (基通7-4-12)

 まずは、通達の原文を読んで見ましょう。

7

−4−12 令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定を適用する場合において、陳腐化した減価償却資産につきその取得後同項の規定を適用する事業年度(以下この款において「適用年度」という。)前の事業年度までに資本的支出があるときは、その減価償却資産に係る同項第2号に掲げる帳簿価額は、次のいずれかに掲げる額又はこれらの額の計算方法に類する方法により計算される額によることができる。(平10年課法2−7「七」により改正)

(1)

 次のイ及びロに掲げる額の合計額

 当初の取得価額につき使用可能期間を基礎として計算される未償却残額

 適用年度前の各事業年度ごとに、その支出された資本的支出の額の合計額を一の資本的支出の額とし、かつ、その資本的支出の額が当該各事業年度開始の日において支出されたものとした場合において、その資本的支出の額につき使用可能期間を基礎として計算される未償却残額の合計額

(2)

 次のロに対するイの割合を未償却残額割合とした場合におけるその法人が採用している耐用年数に係る未償却残額割合に対応する経過年数を計算し、次にその減価償却資産の使用可能期間についてその経過年数を経過したものとしたときに計算される未償却残額割合をその減価償却資産の取得価額(適用年度前の各事業年度に支出された資本的支出の額がある場合には、その資本的支出の額に合計額を加算した金額。以下7−4−12において同じ。)に乗じて計算した金額

 適用年度開始の日における陳腐化した減価償却資産の帳簿価額

 その減価償却資産の取得価額

(注)

 未償却残額割合は、その計算された割合に近い未償却残額割合のいずれかを選択することができる。


では、計算式を考えてみよう。
まず、(1)は、次の額の合計額になる。
 当初の取得価額 × 未償却残額割合 = XXX
 各事業年度毎に次の額の合計額
資本的支出の額の合計額 × 未償却残額割合 = XXX
(資本的支出は、その各事業年度開始の日において支出されたものとして計算する)
つまり、通常の陳腐化償却の計算を、従前部分と資本的支出部分に分けて計算することになる。
次に、(2)は、次の金額となる。
(a)  まず、次の割合を求める。
  適用年度の期首の帳簿価額 ÷ 取得価額(資本的支出を含む)
 これを元に(法定)耐用年数に対応する経過年数を計算する。
 次に、使用可能期間について、その経過年数に対応する未償却残額割合を計算する。
(b) 取得価額(資本的支出を含む)× (a)の未償却残額割合 = XXX

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