彼女がオレの武器に呪文を唱える。
その次には敵を攻撃する呪文を唱え始めた。
「ロン、付き合ってくれなくてもいいのよ」
どこか悲壮感を漂わせながらリーはオレに向かって言う。
今更だと思った。
オレと彼女が出会ったのは闇の森と呼ばれる森。
ハーフのハイエルフ(ダークエルフとライトエルフのハーフ)の占い師の預言者の預言でオレはそこに向かった。
リーと出会うために。
オレにとって導き、導かれる者であるリー。
彼女の出自とその魔法力に惹かれオレは彼女と行動を共にするようになった。
初めはハンターギルドから彼女が受けた依頼通り神々の聖宝を探していた。
11あると言われるソレは全てそろえた者に富と幸福を約束するとか何とか。
良くありそうな理由を付けられている聖宝。
だが、たくさんのハンター、そして世界を統一という名の征服をしたがっていたアルガトム帝国に寄って次第に命を狙われるようになった。
「空間を突っ切る翼となれ、闇を切り裂く剣となれ」
彼女の声が闇夜に響く。
オレ達の周囲にいるアルガトム帝国からの刺客はその呪文の種類に気付いたのかリーの呪文を邪魔しようと襲いかかってきた。
「リーの邪魔はさせない」
オレの武器で奴らを攻撃する。
攻撃という言い方は正しくない、オレの武器は一撃必中の銃だから。
「天より舞来たれ、メテオストリーム!」
流星群が空から現れ敵に降り注ぐ。
それに驚き敵は逃げまどう。
その隙にオレ達はその場から移動した。
「ありがとうロン」
「何を今更」
「あたしは、帝国を滅ぼすことを決めた。だから、ロンは…」
「そんなことは今更だ」
そう、今更なのだ。
リーと一緒に行動を始めたときから。
お互いが導き、導かれる者だと知ったときから。
大地の女神ゲーラの祝福。
人は誰もが導き、導かれる者を持つのだという。
そんな話、信じていなかった。
誰もがそうだろう。
だがオレは信じざるを得ない。
リーと出会ったから。
リーがそうだと気付いたから。
「大体、オレだって帝国に命を狙われてるんだ、リーが気にする事じゃない」
だから、今更なんだ。
「まぁ、今はこの場からさっさとどこかに移動だ。連中がかぎつけてくるぞ」
「分かってるわよ。とりあえず、近場の……ドコがいい?」
「お前に任せるって言ったら?」
「………適当に飛んでやる」
それだけは勘弁して欲しい。
帝国の本拠地真上って事になったらしゃれにならない。
「あ、それいいかも」
「リーっ!!!!」
マジで勘弁してっ。
あれ?なんか最後、考えたのと違う。
もうちょっとシリアスで終わらせるはずだったのになぁ。
リーとロンが狙われる理由は各々別のことです。
総合的に見れば同じなんだけど、根っこの部分では違ってたりします。
またその辺は後で。
多分、ダーウィンあたりが話すかと……(リーが狙われる理由はね)。