とりあえずリハビリ。でもここに来てくださる人は、だぐえりとかを求めてるんでしょうか? 私も好きです、まだサイト巡ってます。やっぱり名作ですよね。
でも、久々に小説は撃墜王だったり。 この前久しぶり?に輪竹くんと会って話して書いてみようと思いました。リハビリ中だから、話の内容は全くないよ。
---------------------- あるパイロットの休日
【ウォリック・フリースの場合】
その日は、いつもの休日とは違う日だった。 半年に一度ある首都への出張。1週間にわたるその機会のうち、間にある休みが今日なのである。 「まずは、買い物っと。何か新作でてるかな」 自分の地元であれば、一日中機体の整備に費やすことも多いのだが、ここの格納庫は残念ながら自分が勝手に動き回れる場所ではない。乗ってきた愛機も、今頃は本隊の整備員にいじられ、データをとられていることだろう。それが出張の一つの目的でもあるのだ。 趣味は飛行機、というパイロットの鏡のようなウォリックにとって、愛機に触れない1日はとても長い。そこで、いつも買い物に出かける。 ここは、首都だ。ゆえに、様々なものが手に入る。良質な飛行機用の手入れ用品であったり、強固なパイロット用の装備であったり、もしくは、最新の撃墜王の飛行録画であったり。 (……あるといいなぁ) 期待に胸をふくらませながら、宿舎を出る。
まずは飛行部品専門店に入り、いつも買っているオイルを手に取る。 地元でも手に入らないわけではないが、値段が全然違う。下手をすると、何か混じっている可能性もある。首都であればそんなこともないので、購入することが多い。 3つ取ってレジに向かうと、カウンターの横にお目当てのものがあった。撃墜王と書かれているそれは、撃墜王の飛行をただ録画してあるものだが、ウォリックは見つけたら必ず買うようにしている。しかし、パッケージに既視感を覚えた。確か、2年前に出たものと同じだ。しかし、そんな前のものがレジの横に置いてあるとは思えなかった。 「……これっていつの?」 オイルを置きながら、店員に言う。 「お。久しぶりですね」 にこにこと笑う店員に話の続きを促す。 「やっぱりほしいですか? お客さん」 「そりゃあまあ。で、いつの?」 手招きをされて耳を近づければ、にやにやする店員から驚きの事実を知る。 「先週の撃墜王と第8部隊とのです」 「……おい、それって」 「……そう。隠し撮りですよ。いつもより高いですけど、お客さん、どうします?」 完全に犯罪行為、それもバレたら反逆罪として捕えられる代物だ。撃墜王と称されるパイロットの飛行を、それも戦っているときの映像を記録し、販売しているなどと知られたら、敵国が目の色を変えて求めてくるだろう。そんなものをを領属とはいえ、パイロットが買うのもかなりまずいと思われるがウォリックの心はとても揺れている。 「いいのかよ、そんなの」 と言いながら視線は「それ」から動かない。 「良くないですよ。だから、「それ」に気づいた人にしか声をかけてないんです。お客さんで2人目ですよ」 にやりと笑う店員に、心が定まった。 「1つくれ」 「毎度、ありがとうございます」
予定を変更して宿舎に戻ると、早速買ってきた映像を見る。 隠し撮りなので確かに鮮明ではないが、飛行機の動きはしっかりとわかった。 「……うわ」 どれ、が。 撃墜王なのかなどと説明されなくてもわかる。 一機だけ別世界を飛んでいるような動き。 ウォリックが憧れてやまない、その機体はあっという間に敵機―――もちろん第8部隊の精鋭なのだが―――を屠った。訓練なので実弾を使っていないが、パイロットとしての目にはそう見えた。
憧れてやまない動き。
相手の裏をとろうと躍起になる自分と違って、真正面から向かう。 それが、ふと消えるのだ。 第3者として見ている自分にはもちろんその後の動きはわかっている。相手の下であったり、横であったり、機体をスライドさせているだけだ。けれど、その動きがなめらかで、そして速くて。 相手は「消えた」ように見える。そしていつの間にか後ろにいるのだ。 「………」 見るんじゃなかった。 こんな化け物と明日は戦うのか。 あの人の作戦も、あの機の動き方も、何もかも、わかっていてもなお。 勝てる気は、しない。 「こえぇ」 どうしようもなく感じる恐怖。 でも、だからこそ。 ―――憧れる、その飛行。
「もう一度、見よ」 どうしようもなく喉が渇いて、どうしようもなく手が震えて、でもどうしても。 何かにとらわれたかのように、ウォリックはまた手を伸ばした。
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