最後にたどり着いたなんてそんな訳じゃないけれど。
ただ、最初はパピーが来てるかもなんて思って。
でも、全然そんなところじゃなくって。
何もかも逃げ出した場所であたしは居場所を見つけるんだ。
「うん、幸せだよ。あたしは歌えることが幸せなんだ」
「そんなもんあるか?」
「うん。神楽ちゃんも歌ってみる?」
「私は音痴アルからな……」
やんわりと彼女の誘いを断る。
「そ?でも、あたしは神楽ちゃんの声、好きだよ」
「そ、そうあるか?」
「うん」
お通ちゃんとたまたま街であって、パフェをおごって貰う。
なんて男どもに言ったら泣いて悔しがるだろう。
銀ちゃんは糖分で、新八はお通ちゃんで。
フフフ、せいぜいうらやましがるが良い。
そして、羨ましがって、工場長と呼ばせてやるわ。
「でも、神楽ちゃんも楽しそうだよね」
楽しそう?
そうあるな。
楽しいアルよ。
銀ちゃんや新八と居て。
でも、銀ちゃんも新八もバカだから、面倒見るのが大変アル。
「時々ね、神楽ちゃんがうらやましいなって思うの」
「何故アルか?歌ってるのが楽しいんじゃないアルか?」
「好きな人と一緒にいられることかな」
新八はどうでもないアル。
「新八君じゃなくって、銀さん」
ぎ、銀ちゃんはマダオで面倒見るのが大変アルよ?
変に臆病だし、糖尿寸前だし……。
「羨ましいなぁ」
聞いてくれないアル……。
「私も好きな人欲しいなぁ」
「お通ちゃんに好きな人が出来たら新八が泣くアル」
かなりウザイネ。
「そうだね」
なんてお通ちゃんは笑う。
いきなりあたりに変な影ができる。
窓の外を見てみれば、
「お、神楽。おまっ何でパフェなんて食ってんだよ」
「って言うか何でお通ちゃんと喫茶店に居るんですかぁ〜?」
なんて窓に張り付いているアホどもが二人…。
これ見よがしにお通ちゃんにくっついて、これ見よがしにパフェを食べてみる。
本気で悔しがってるのがおかしい。
「楽しいよね」
なんて言うお通ちゃんの言葉に私は笑いながら頷いた。
神楽から見たお通ちゃんにしようと思ったんだけど、結局神楽の話。
こんなんでも銀神だと言い張ってみる。