「銀ちゃんはどうしてそんなにマダオアルか?パピーに、私なんて言えばいいアル」
「なんてって、親父さん知ってんじゃん」
「故郷のパピーに銀ちゃんはすばらしい人ですって言えないアル〜」
いや、神楽ちゃんあなたのパピーにはあったことあるから。
マダオだってばれてるから。
チョコ食おうが、ケーキ食おうが、あんこ食おうが、それは残念ながらオレが糖分をとらないと生きていけない身体な訳で。
「糖をとらないと生きていけない身体なんて聞いたことないアル」
銀さんはねぇ、糖を取らないと死んじゃうんだよ。
「それはイヤアル」
納得したか?
「でも、マダオ的生き方アルな」
いや、それがオレだから良いんだよ。
だいたい、マダオだって夢もって生きてんだぞ。
マダオをなめんなよ。
「じゃあ、銀ちゃんの夢って何あるか?」
ん?
そりゃ、オマエ決まってんじゃねえか。
ささやかな夢だぞ?
今まで通りにな、チョコ食ったり、ケーキ食ったり、あんこ食ったり、モンブラン食ったり、するんだよ。
一ヶ月に一回じゃなくってよぉ、1週間に1回いや、毎日1回。
ささやかな夢じゃねえか。
「糖取る以外にてめーの頭には何もねえのかよ。マダオ!」
ささやかな夢見て何が悪い!!
だから言ったろ、今まで通りで良いんだよ。
それでなくても波瀾万丈はそこら中からやってくんだ。
日々の生活ぐらい、オレの好きにさせろよ。
「銀ちゃん、それはささやかって言うアルか?欲望にまみれてるような気がするアル。こう「血手器」な事ってないアルか?」
血手器……なにその怪しげな物体。
血手器…じゃなくって知的だろ?
「そう、それアルよ」
知的……そんなの決まってるだろうよ、銀さんある意味活字依存症よ?
「ジャンプがあるか!!」
当然よ。ジャンプと糖があればそれで十分。
「……銀ちゃん、マダオの街道をひたすら突っ走ってるアル…。どこか更正させる道あるかって探してたけど、絶対無理アルな」
更正?いや、どこ更正。
「銀ちゃんのそばにいるのは銀ちゃんがちゃんとしないと無理ってパピーが言ってたアル」
何言ってんの、こうな、姿で侮っちゃ駄目なんだよ、神楽ちゃん。
こう、いざっと言うとき銀さん頼りになるだろ?
「まぁ、それは認めるアル。いざって言うときがなかなか無いから難しいアルけどな」
いざって言うときはそんなに無くたって良いんだよ。
ん?いざって言うときが無いと頼りがいあるとこ見せられねぇな。
まぁいいか。
でな、まぁ、なんだ。
「銀ちゃんがそんな顔するの初めて見たアル」
いや、オレだって緊張すんだぞ、こら。
「まぁ、黙ってついてこいなんて言わねえけどさ。まぁ、オマエのこと幸せにぐらいはしてやるよ」
「………銀ちゃん、熱アルか?」
「アホ。ちゃんと俺の話聞いてた?」
「聞いてたアル。三歩後ろ歩けって嫁姑バトルで言うアル」
「三歩後ろ歩け何ていわねえよ。っつーかオマエの場合三歩先に行くだろうが」
「……………」
なに、笑ってんだよ。
おれが、どんなに緊張して言ってると思ってるんだか、このお嬢さんは。
「ふつかよいですが、宜しくお願いするアル」
「不束なものですがな」
「そう、それアル」
「分かってないな 男の胸にはでかい太陽燃えてるんだぜ」とか「笑ってないで聞きなさいよ 顔や服で侮っちゃ行けない」あたり。
実際はプロポーズソングですが。