火の女神タクラの神殿での祭事。
彼女は炎の祭壇の中心で舞を舞う。
ここは主の神殿ではないけれど、彼女は主と同じような舞の名手。
紅い髪が舞う姿に人々は目を奪われていた。
シャランと足首と手首に付けられている飾りがなる。
「シェラ、来てくれたの?」
「うん。ラテス様にお願いして、ワール・ワーズに連れてきてもらっちゃった」
「そう」
そう言って彼女は俺たちを、いや正確には俺を見る。
「クロン、見てたんでしょう?感想ぐらいいいなさいよ」
「えぇ?いやあ、綺麗でしたよ?相変わらず」
「何でそんな敬語なのよ」
下手なこと言ったら、カレンが怒るから。
なんて口に出しても言えない。
「しっかり口に出してるわよ。クロンメル!!!!」
そう言ってカレンは紅い髪を振り乱して怒る。
「クロンの奴、素直に言えばいいのに」
「素直に言えないのがクロンっていうか。怒らせて楽しんでいるような気がするのは僕の気のせいかなぁ」
「気のせいじゃないよ。クロンはカレンを怒らせているんだよあれ。構ってもらいたいから怒らせてるんだ」
なんて勝手に適当なことをチェスとマレイグが後ろで言ってるけど、本当の事なんて言えるわけがない。
綺麗で魅惑的で誰もが彼女に魅了されていた。
もちろん俺もその一人。
火の女神タクラの神官らしく、彼女は情熱的な舞を奉納していた。
女神も満足しているだろう。
俺の主である古代火の女神セリアは舞の名手。
彼女と比べたらカレンは恐れ多いと言うかも知れないけれど。
セリアの舞のようにすばらしかった。
もしかすると俺の欲目かも知れないけれど。
「クロンのバカ」
「バカって言われたら困るんだけど…。この後もあるんだろう?」
そう言ったら彼女は頷く。
「全部見なくちゃ感想なんて言えないよ。だから全部見たら言うから。それで満足ですか?舞姫様」
そう恭しく言えば、
「やっぱりあんたってバカよ。クロンメル」
そう言って笑う。
「絶対言ってよね。言わなかったら許さない」
そう言って彼女は飾りをシャランと鳴らし、舞台へとあがる。
幻火の炎が舞う。
「見事な舞だな」
「そりゃ、カレンだし」
「私と比べるお前の欲目は確かなモノがあるかもな」
「それは光栄です」
彼女が降臨していることを人は見に来ている人は気付かない。
「ワール・ワーズ。お前達も歌っていくのだろう?タクラのところで聞かせてもらうぞ?」
そう言って幻火の炎を纏って彼女は神殿へと向かう。
「結局歌うことになるのか。この座をしらけさせるつもりはなかったんだけどな」
「ソングマスターが歌うんだから問題ないよ」
マレイグとチェスの会話が聞こえても俺はその会話に入る気はならなかった。
彼女の舞に俺は目を離せなかったのだから。
クロンメルとカレンはいわゆる恋人同士という関係までには行ってません。友達以上恋人未満という段階で止まってます。
喧嘩友達って言うか。
そうそうクロンのキャストを考えようの会を密かに結成して(ほら、飛田さんはCAROLのだから)延々と考えて辻谷さんか小野坂さんって案が私の中で浮かんで……どっちがいいかな〜〜。辻谷さんってどうだろうって…。