あの時に、手を伸ばせば今、こうならずに済んだのだろうか。
彼女は敵の手の中。
その時のオレはまだ彼女の意味さえ知らず、ただ久しぶりの再会に喜んでいた。
艦の休憩室で彼女は一人外を眺めていた。
「何か見えるのか?」
「……雨、降ってる」
「あぁ、本当だ」
彼女の言葉に窓の外を見てみれば細かい雨が降り注いでいた。
外に出れば冷たい雨なのだろう。
様々なところに向かう戦艦であるこの艦の中では音は聞こえず、幸いなことにその冷たさも分からなかった。
「この艦に慣れたか?」
「だいぶかな?でもさぁ、変な人ばっかりだよね」
「確かにな」
オレ達のユニット隊の隊長もオレ達の部隊のリーダーも、副リーダーもそれから好き勝手にやってるパイロットや整備士のお姉さん。
自由気ままな、でも変な人が多い。
「ねぇ、自分の事忘れてない?」
「はぁ?お前ねぇ、オレのドコが変だと?」
「いろいろ?」
いろいろって……そんな適当な言い方有るか!
っつーか、お前こそ変の代名詞そのものじゃねえか。
「ちょっと〜あたしのドコが変なのよ」
「んなの決まってるじゃねえか」
とあれこれ言おうとしてそう言えばこいつの昔のオレの印象は変しかなかったことを思いだした。
「ねぇ?何。あたしの変なところ言ってよ」
「いや、その……えっとさぁ、いろいろだよ、いろいろ」
「ほら、出てこないじゃない。ね、あたしは変じゃないでしょ?」
「そう言うところが変なんじゃねえの?」
「なによそれ〜〜」
久しぶりにそんなやりとりをしてる。
…10年ぶり?
の再会って奴はあまりにも和やかな時間をオレ達にもたらしていた。
静かな沈黙が訪れる。
風の向きが変わったのか窓に雨が当たる。
静かにそれを見る彼女の表情が少し気になった。
「疲れてるのか?」
当たり障りのない言葉しか浮かばなくって事実そうなんだろうと思う。
「どうして?」
「元気ねえじゃねえか」
「そんなことないよ。気のせいだよ」
何処か寂しそうな笑顔。
こんな笑顔作った奴だったっけ?
過ぎた時間で笑顔が変わったのか?
「なぁ」
「何?」
「何か悩みがあるなら言えよ。他の奴らには初めてあった手前あんまり言えねえかも知れないけどさ、オレは昔からお前のこと知ってるから」
たとえ、離れている時間が長かったとしても。
知っている奴が居る方が安心するのは誰でも一緒だ。
「……ありがとう……。でも、何もないよ〜無いから、心配しないでも平気。ね」
「分かった」
いつもの、オレが覚えている彼女の調子に戻ったのを見てオレは彼女の言葉に素直に頷いた。
でも、そうじゃなかった。
彼女は大きな秘密を抱えていた。
それをオレはずっと気付かずにいた。
あの時だけじゃなくどんなときでも手を伸ばせば彼女はこの手を掴んだだろうか。
もしチャンスがあるのならオレは手を伸ばして彼女の手を掴もう。
それが彼女の闇をはらすためになるならば。
そうです、ロボット物書きたいんです。
書きたいんだよ〜〜〜〜。
でもねぇ、対抗勢力が思い浮かばないの。