** Castle in the Clouds:music by TM NETWORK / BLEACH
雨が降る。
それでも、あいつの心は深く沈む。
「それでも、私は罪にさいなまれるのだよ…」
そう言えば、気が済むとも思えないのに…。
音もなく静まりかえった夜の瀞霊廷に細かい雨が降る。
後ろ髪をなでる手は無骨で大きいというのに、昔と変わらず優しいはずなのにどこか甘くてこそばゆい。
昔はさほど変わらなかった身の丈も今はあまりにも違い、あのときと同じようにこの身は護られるように抱えられている。
恥ずかしいと思っているはずなのに離れがたいと思うのは誰にも憚られずに側にいられるからだろうと、独り納得する。
「何、考えてる?」
「…何だろうな」
声は、体を通して聞こえるから、いつも聞いてる声と違うような気がして、不思議な気がした。
「…雨は嫌いだろ?」
「………何故、知ってる?」
こやつは…恋次は知らぬはずだ。
私が、雨に苛まれることを…。
「…お前の思ってることなんざすぐに分かるって言ったろ?」
「…簡単に知られるほど、私は単純ではないと私も言ったと思うが?」
「お前なぁ」
そう呆れたように呟きため息をつく。
「ため息をつくなら、いい加減放せ。窮屈で仕方ない」
「んなんじゃねぇよ」
そう悪態ついて、恋次は体に回る腕の力を強める。
「…何度か、世話になってさ」
その言葉で、分かった気がした。
そうか、…恋次はあの人を知っていたのだな。
知らぬはずは無いか。
恋次とて、副隊長になる前は11番隊で席官を努めていたほど。
あの人に接する機会もあったのだろう。
「…お前の事、何度か話したよ。あの人に」
「そうか…」
何を言っていたのだろうか…。
「ちゃんと飯食ってるか?とか寝坊してないか?とか」
「恋次!!貴様は私のことなんだと思っている。子供だと思ってはおらぬか?」
だいたいなんだその子供扱いは!!
「暴れるなっつーの。そう言ったら、笑い飛ばされて…心配しすぎだって言われたよ」
「当たり前だっ、全く。まさか、その調子で兄様にも何か言ったのではあるまいな」
いくらうち解けられるようになってきたとはいえ、こんな恥ずかしいこと兄様に知られたとなっては……。
「んなこといいじゃネェかっ」
「いいわけあるか!これでも養女とはいえ四大貴族である朽木家の人間だぞっ」
「へいへい」
「聞いているのか?恋次!!」
「聞いてるよ」
勢い余ってまともに顔を見れば、穏やかに微笑んでいて、いきり立った自分が無性に恥ずかしくなってしまった。
「ルキア?」
「何でもないっっ」
そう言って、もう一度おとなしく恋次の腕の中に戻る。
雨は静かに降って、音はどこか……。
「一護の奴、似ているな」
「うむ。初めはそうは思わなかったけれど…。どこか、何かを決めたときは似ていると思った。もしかすると、あの方なのかもなとも思ったことも無いわけではない」
「…で、一護が気になるってか?」
「私にはおらぬが弟の様でな。緋真姉様が私のことを思ってくれた気持ちが少し分かるような気がした。都殿というのがあの方の奥方でな」
昔話が出来る気がした。
「優しい雨もあるのだな」
「当たり前だ」
恋次は眠りに落ちそうな私を抱きしめて眠りに落ち、そして私もその音を聞きながら眠りに落ちる。
明日も、また共にあれるように、笑えるように。
眠る寸前夢を見た。
海燕殿と都殿に呼ばれて私たちが向かう夢。
それはどこか、現世の様な…………。
それでも、あいつの心は深く沈む。
「それでも、私は罪にさいなまれるのだよ…」
そう言えば、気が済むとも思えないのに…。
******
こうやって共にあるのはどの位ぶりだろうと考える。音もなく静まりかえった夜の瀞霊廷に細かい雨が降る。
後ろ髪をなでる手は無骨で大きいというのに、昔と変わらず優しいはずなのにどこか甘くてこそばゆい。
昔はさほど変わらなかった身の丈も今はあまりにも違い、あのときと同じようにこの身は護られるように抱えられている。
恥ずかしいと思っているはずなのに離れがたいと思うのは誰にも憚られずに側にいられるからだろうと、独り納得する。
「何、考えてる?」
「…何だろうな」
声は、体を通して聞こえるから、いつも聞いてる声と違うような気がして、不思議な気がした。
「…雨は嫌いだろ?」
「………何故、知ってる?」
こやつは…恋次は知らぬはずだ。
私が、雨に苛まれることを…。
「…お前の思ってることなんざすぐに分かるって言ったろ?」
「…簡単に知られるほど、私は単純ではないと私も言ったと思うが?」
「お前なぁ」
そう呆れたように呟きため息をつく。
「ため息をつくなら、いい加減放せ。窮屈で仕方ない」
「んなんじゃねぇよ」
そう悪態ついて、恋次は体に回る腕の力を強める。
「…何度か、世話になってさ」
その言葉で、分かった気がした。
そうか、…恋次はあの人を知っていたのだな。
知らぬはずは無いか。
恋次とて、副隊長になる前は11番隊で席官を努めていたほど。
あの人に接する機会もあったのだろう。
「…お前の事、何度か話したよ。あの人に」
「そうか…」
何を言っていたのだろうか…。
「ちゃんと飯食ってるか?とか寝坊してないか?とか」
「恋次!!貴様は私のことなんだと思っている。子供だと思ってはおらぬか?」
だいたいなんだその子供扱いは!!
「暴れるなっつーの。そう言ったら、笑い飛ばされて…心配しすぎだって言われたよ」
「当たり前だっ、全く。まさか、その調子で兄様にも何か言ったのではあるまいな」
いくらうち解けられるようになってきたとはいえ、こんな恥ずかしいこと兄様に知られたとなっては……。
「んなこといいじゃネェかっ」
「いいわけあるか!これでも養女とはいえ四大貴族である朽木家の人間だぞっ」
「へいへい」
「聞いているのか?恋次!!」
「聞いてるよ」
勢い余ってまともに顔を見れば、穏やかに微笑んでいて、いきり立った自分が無性に恥ずかしくなってしまった。
「ルキア?」
「何でもないっっ」
そう言って、もう一度おとなしく恋次の腕の中に戻る。
雨は静かに降って、音はどこか……。
「一護の奴、似ているな」
「うむ。初めはそうは思わなかったけれど…。どこか、何かを決めたときは似ていると思った。もしかすると、あの方なのかもなとも思ったことも無いわけではない」
「…で、一護が気になるってか?」
「私にはおらぬが弟の様でな。緋真姉様が私のことを思ってくれた気持ちが少し分かるような気がした。都殿というのがあの方の奥方でな」
昔話が出来る気がした。
「優しい雨もあるのだな」
「当たり前だ」
恋次は眠りに落ちそうな私を抱きしめて眠りに落ち、そして私もその音を聞きながら眠りに落ちる。
明日も、また共にあれるように、笑えるように。
眠る寸前夢を見た。
海燕殿と都殿に呼ばれて私たちが向かう夢。
それはどこか、現世の様な…………。
**後書き:簡単だ〜〜。って思ったら、難しかった。
小さく一織も混入。海燕=一護、都=織姫。という説に倣って。
小さく一織も混入。海燕=一護、都=織姫。という説に倣って。