** HUNDRED NIGHT, HUNDRED STORIES:music by 宇都宮隆 / ファルダーガー(ワール・ワーズ)
紫煙の行方…。
それをぼーっと眺める。
歌う喉にはあまり優しくないけれど…。
レコーディングの最中だけど、たばこ一本吸うにはちょっと多すぎる時間の30分。
気の乗らないまま始めたレコーディングをプロデューサーでもあるチェスターが見かねて30分と言う長い休憩を取ることにしたからだ。
できると言い張ったけど、結局僕は強制的に休憩を取らされる羽目になった。
「謝るなら今のうちじゃない?」
なんてクロンの奴なんか外に出る僕を見てそう言うし。
誰に謝るって言うんだよ…。
別に、けんかしたってわけじゃないし。
…って誰と喧嘩……。
ちゃんとわかってるんだから始末に負えない。
今回のは喧嘩か?
喧嘩にもなってないような気がする。
ただ僕が…怒ってたのは僕じゃないな…。
僕が怒らせたんだっけ…。
「何本目?」
「っはぁ、エリンかぁ…」
気配に驚いて振り向けばそこには今回のレコーディングに参加してくれてた作詞担当のエリンがいた。
「何ぃ?もしかしてシェラだと思ったぁ?」
いたずらっ子の様にエリンは言ってくる。
「なんでそうなるんだよ」
「だってぇ、マレイグが歌えなくなるほど動揺するのってシェラちゃんの事ぐらいかなぁって?」
「あのさぁ、一応僕だってプロだよ。プライベートと仕事は分けてるよ」
自分がプロの歌い手で、ソングマスターって言う称号持ちだっていうのぐらい自覚している。
「ふぅ〜ん。じゃあ、今日は、なんで歌えてなかったの?」
それなのにエリンはしつこく聞いてくる。
「そ、それは…。そう、たばこ。たばこが吸いたかったんだよ」
「マレイグがヘビーって言うのは知ってるけど。さすがにスタジオは禁煙だけど、ミキサー室の方は喫煙オッケーじゃない?耐えられないって程、スタジオにこもってたっけ?」
「エリン、性格悪いよ」
僕の今の状況わかっててエリンは言うんだ。
ホントに参る。
「そう思うだったらさぁ、さっさと仲直りしたら?シェラがコーヒー入れてくれないってスポンサー様がお嘆きなのよ〜」
ラテスの奴、何考えてんだよ。
「たいしたことで喧嘩してないんでしょ?」
「…シェラが怒ってた。悪いのは…オレだと思う」
「二人してそう思ってるのは可笑しすぎるわよ?」
「エリン?」
って、シェラに聞いたのかよっっ。
「さぁね。ともかく、早く調子戻してね。あたしが書いた歌詞が、マレイグが歌うの待ってるんだから。あの歌詞はワール・ワーズのために書いたのよ。ワール・ワーズのボーカルがこんなことじゃどうしようも無いと思うんだけど」
「言われなくても…分かってるよ」
「分かってるんだったら、早く仲直りしなさい。シェラはあたしにとって妹みたいなものなんだからね」
「分かってるよっ」
そう言う僕にエリンは答えず手をひらひらと振っただけで中に戻ってしまった。
喧嘩の理由は何だったか、あまり人には言えないことで。
「ごめん」
視線だけ向けて言えば
「許さないって言ったらどうするの?」
不機嫌顔でシェラが出てくる。
「今度の歌、できあがったら一番最初にシェラにあげる」
いつもは聞かせてるんだけど、今度のはあげよう。
きっと、チェスもクロンもエリンも許してくれると思うしね。
ってそう言えば、
「…………しょうがないから許してあげる」
なんて不機嫌そうに言うから思わず笑ってしまった。
「なんで笑うのよっ」
「ごめんごめん」
「もうっ、こんなところで油売ってる場合じゃないでしょう?レコーディング早くしてきなさいよっ」
「分かってるよ」
そう言って僕はスタジオに戻っていく
謝ったら気分が良い。
いくつの日々、いくつの夜。
きっとこんな風に進んでくから。
そんなでも良いと思う。
そして、最後まで吸った煙の先を僕は背後に流した。
それをぼーっと眺める。
歌う喉にはあまり優しくないけれど…。
******
ただいま、休憩中。レコーディングの最中だけど、たばこ一本吸うにはちょっと多すぎる時間の30分。
気の乗らないまま始めたレコーディングをプロデューサーでもあるチェスターが見かねて30分と言う長い休憩を取ることにしたからだ。
できると言い張ったけど、結局僕は強制的に休憩を取らされる羽目になった。
「謝るなら今のうちじゃない?」
なんてクロンの奴なんか外に出る僕を見てそう言うし。
誰に謝るって言うんだよ…。
別に、けんかしたってわけじゃないし。
…って誰と喧嘩……。
ちゃんとわかってるんだから始末に負えない。
今回のは喧嘩か?
喧嘩にもなってないような気がする。
ただ僕が…怒ってたのは僕じゃないな…。
僕が怒らせたんだっけ…。
「何本目?」
「っはぁ、エリンかぁ…」
気配に驚いて振り向けばそこには今回のレコーディングに参加してくれてた作詞担当のエリンがいた。
「何ぃ?もしかしてシェラだと思ったぁ?」
いたずらっ子の様にエリンは言ってくる。
「なんでそうなるんだよ」
「だってぇ、マレイグが歌えなくなるほど動揺するのってシェラちゃんの事ぐらいかなぁって?」
「あのさぁ、一応僕だってプロだよ。プライベートと仕事は分けてるよ」
自分がプロの歌い手で、ソングマスターって言う称号持ちだっていうのぐらい自覚している。
「ふぅ〜ん。じゃあ、今日は、なんで歌えてなかったの?」
それなのにエリンはしつこく聞いてくる。
「そ、それは…。そう、たばこ。たばこが吸いたかったんだよ」
「マレイグがヘビーって言うのは知ってるけど。さすがにスタジオは禁煙だけど、ミキサー室の方は喫煙オッケーじゃない?耐えられないって程、スタジオにこもってたっけ?」
「エリン、性格悪いよ」
僕の今の状況わかっててエリンは言うんだ。
ホントに参る。
「そう思うだったらさぁ、さっさと仲直りしたら?シェラがコーヒー入れてくれないってスポンサー様がお嘆きなのよ〜」
ラテスの奴、何考えてんだよ。
「たいしたことで喧嘩してないんでしょ?」
「…シェラが怒ってた。悪いのは…オレだと思う」
「二人してそう思ってるのは可笑しすぎるわよ?」
「エリン?」
って、シェラに聞いたのかよっっ。
「さぁね。ともかく、早く調子戻してね。あたしが書いた歌詞が、マレイグが歌うの待ってるんだから。あの歌詞はワール・ワーズのために書いたのよ。ワール・ワーズのボーカルがこんなことじゃどうしようも無いと思うんだけど」
「言われなくても…分かってるよ」
「分かってるんだったら、早く仲直りしなさい。シェラはあたしにとって妹みたいなものなんだからね」
「分かってるよっ」
そう言う僕にエリンは答えず手をひらひらと振っただけで中に戻ってしまった。
喧嘩の理由は何だったか、あまり人には言えないことで。
「ごめん」
視線だけ向けて言えば
「許さないって言ったらどうするの?」
不機嫌顔でシェラが出てくる。
「今度の歌、できあがったら一番最初にシェラにあげる」
いつもは聞かせてるんだけど、今度のはあげよう。
きっと、チェスもクロンもエリンも許してくれると思うしね。
ってそう言えば、
「…………しょうがないから許してあげる」
なんて不機嫌そうに言うから思わず笑ってしまった。
「なんで笑うのよっ」
「ごめんごめん」
「もうっ、こんなところで油売ってる場合じゃないでしょう?レコーディング早くしてきなさいよっ」
「分かってるよ」
そう言って僕はスタジオに戻っていく
謝ったら気分が良い。
いくつの日々、いくつの夜。
きっとこんな風に進んでくから。
そんなでも良いと思う。
そして、最後まで吸った煙の先を僕は背後に流した。
**後書き:突発ノートの後書きには書かなかったけれど、視線だけ向けてマレイグが謝るところは自分で想像しててもだえました。
ウツの視線流し………倒れそうだ。
視線流して笑うところ。想像してください。
ちなみにウツ誕記念&TM好きに20のお題10、たばこと併用。
ウツの視線流し………倒れそうだ。
視線流して笑うところ。想像してください。
ちなみにウツ誕記念&TM好きに20のお題10、たばこと併用。