** シャイン:music by 鬼束ちひろ / under the sky
私は泣かない。
たとえ両親が死んでも。
私は泣いてはいけないのだ。
どこか哀しそうに私の側にいる少年が声をかけてくる。
「何?アレクくん」
「何でもない」
首を振って言葉を止める。
「お祈りのじゃまをしちゃってごめんね?」
「大丈夫よ。アレク君は気にしないで」
そう言って微笑めば、安心したようにうなずく。
私はガナディールの巫女。
アレク君は私の護り人。
ガナディールが魔物に襲われた日、私の両親は殺され私にはこの国を導く巫女の力が芽生えた。
そしてこの国のために私は祈りを始めた。
ガナディールはこの国にある遺跡群を護るための国。
この遺跡群のどこかにある金色の守護神を求めて、魔物が押し寄せてくる。
それから護るためにガナディール騎士団と巫女がいる。
結界を張るのが巫女の役目、撃退するのが騎士団の役目だ。
私は祈る。
騎士団が魔物と闘うときは。
彼らの生命を護るために。
遺跡群よりほど遠い王城の祈り場で。
「アレク、巫女…ウェリナは?」
「レオン兄ちゃん、お帰りなさい。…ウェリナ姉ちゃんだったらまだ祈ってるよ。…レオン兄ちゃん、あのねウェリナ姉ちゃんの………」
「分かってるよ」
一つの気配がこの部屋から外に消えて、一つの気配が入ってくる。
「ガナディールの巫女、ウェリナ・ミレイユに申し上げます。ガナディール騎士団、ただいま帰還いたしました」
振り向けば騎士団団長レオンハルト・ガインがそこにいた。
金色の鎧を身にまとい、冑とを脱いだそこからは金色の長い髪をそこに流す。
「ご苦労様でした。無事のご帰還、お慶び申し上げます」
形式張った言葉でレオンハルトに答える。
「ウェリナ、遅くなってごめん」
「…大丈夫よ、レオン。レオンこそ怪我はない?」
幼なじみの気安さで彼の言葉を流して問いかける。
「オレこそ大丈夫だよ。ウェリナ、…今日もありがとう」
そう言ってレオンハルトは近づいてきて髪にふれる。
「……巫女の君の髪を触れるのは暴挙なのかも知れないな?」
頭や体に触れないでレオンハルトは慎重に髪にだけふれてくる。
「レオンハルト、いきなり何を言うかと思えばそんなこと?」
「そんなことってひどいなぁ。ただ、ウェリナの髪にふれたかっただけ」
そう言ってレオンハルトは離れる。
「禊が終わったらいつもの所にな。皆待ってるから」
そう言ってレオンハルトは部屋を出て行く。
それ以上近づけない。
近づいてはいけない。
私が巫女であることとレオンハルトが皆を引っ張っていく騎士団の団長であること。
そして彼は次期の国王だ。
誰も知らない。
私とゴルドバの巫女しか知らない。
あなたが好きだと言うことは知られてはいけない。
巫女と次期国王の恋などあってはならない。
ただ胸に秘めて。
私が言わなければ彼は大丈夫。
祈るのは、あなたのためであればソレで良い。
たとえ両親が死んでも。
私は泣いてはいけないのだ。
******
「ウェリナ姉ちゃん…」どこか哀しそうに私の側にいる少年が声をかけてくる。
「何?アレクくん」
「何でもない」
首を振って言葉を止める。
「お祈りのじゃまをしちゃってごめんね?」
「大丈夫よ。アレク君は気にしないで」
そう言って微笑めば、安心したようにうなずく。
私はガナディールの巫女。
アレク君は私の護り人。
ガナディールが魔物に襲われた日、私の両親は殺され私にはこの国を導く巫女の力が芽生えた。
そしてこの国のために私は祈りを始めた。
ガナディールはこの国にある遺跡群を護るための国。
この遺跡群のどこかにある金色の守護神を求めて、魔物が押し寄せてくる。
それから護るためにガナディール騎士団と巫女がいる。
結界を張るのが巫女の役目、撃退するのが騎士団の役目だ。
私は祈る。
騎士団が魔物と闘うときは。
彼らの生命を護るために。
遺跡群よりほど遠い王城の祈り場で。
「アレク、巫女…ウェリナは?」
「レオン兄ちゃん、お帰りなさい。…ウェリナ姉ちゃんだったらまだ祈ってるよ。…レオン兄ちゃん、あのねウェリナ姉ちゃんの………」
「分かってるよ」
一つの気配がこの部屋から外に消えて、一つの気配が入ってくる。
「ガナディールの巫女、ウェリナ・ミレイユに申し上げます。ガナディール騎士団、ただいま帰還いたしました」
振り向けば騎士団団長レオンハルト・ガインがそこにいた。
金色の鎧を身にまとい、冑とを脱いだそこからは金色の長い髪をそこに流す。
「ご苦労様でした。無事のご帰還、お慶び申し上げます」
形式張った言葉でレオンハルトに答える。
「ウェリナ、遅くなってごめん」
「…大丈夫よ、レオン。レオンこそ怪我はない?」
幼なじみの気安さで彼の言葉を流して問いかける。
「オレこそ大丈夫だよ。ウェリナ、…今日もありがとう」
そう言ってレオンハルトは近づいてきて髪にふれる。
「……巫女の君の髪を触れるのは暴挙なのかも知れないな?」
頭や体に触れないでレオンハルトは慎重に髪にだけふれてくる。
「レオンハルト、いきなり何を言うかと思えばそんなこと?」
「そんなことってひどいなぁ。ただ、ウェリナの髪にふれたかっただけ」
そう言ってレオンハルトは離れる。
「禊が終わったらいつもの所にな。皆待ってるから」
そう言ってレオンハルトは部屋を出て行く。
それ以上近づけない。
近づいてはいけない。
私が巫女であることとレオンハルトが皆を引っ張っていく騎士団の団長であること。
そして彼は次期の国王だ。
誰も知らない。
私とゴルドバの巫女しか知らない。
あなたが好きだと言うことは知られてはいけない。
巫女と次期国王の恋などあってはならない。
ただ胸に秘めて。
私が言わなければ彼は大丈夫。
祈るのは、あなたのためであればソレで良い。
**後書き:under the skyの番外編のお話。
……あれ?結構悲恋だよ。
ウェリナとレオンの話はラブラブだと思ってたのに。 なのに悲恋くさい。
シェリー達が生きる時代より彼らは100年ぐらい前の話の人です。 レオンハルト・ガインは後に英雄王とも勇者王とも呼ばれるようになります。 彼は『不死身王』という別名もあるのですが、有名なのは英雄王か勇者王。 不死身王は彼は死ぬことがないので有名だったのですが、それは必ずウェリナが彼を護っていたからです、彼は不死身であり続けたのです。
とりあえずこんな
ウェリナとレオンの話はラブラブだと思ってたのに。 なのに悲恋くさい。
シェリー達が生きる時代より彼らは100年ぐらい前の話の人です。 レオンハルト・ガインは後に英雄王とも勇者王とも呼ばれるようになります。 彼は『不死身王』という別名もあるのですが、有名なのは英雄王か勇者王。 不死身王は彼は死ぬことがないので有名だったのですが、それは必ずウェリナが彼を護っていたからです、彼は不死身であり続けたのです。
とりあえずこんな