自由。
初めて自由を得たような気がする。
全てが雁字搦めだった自分。
それを解き放ち、世界中を旅しよう。
黒の魔道士という称号は思った以上に審査でも響いていて。
あたしは、SS級の魔道士ということで魔道士協会シャナ・カムイに登録することになった。
シャナ・カムイの代表や、シャナ・カムイが存在するハーシャの国王にハーシャ国内にいる間に登録しろと説得されながらしなかったあたしが、路銀ほしさに魔道士協会に登録するぐらいになったのだからそれはまぁ……仕方ないことだよね。
協会に登録すれば、依頼を合法的に受けることが出来る。
協会に寄せられる依頼はまぁ、何でも屋的な意味合いが大きい。
何処かの誰かに何かを届けてくれとか、何かを下さいとか。
モンスター退治とか、どっかの組織つぶしとか、はたまた暗殺とか。
アサシンギルドはほぼ非合法だけど、協会は合法。
何たってバックは各国家法人で組織されている協会だ。
あたしが今までやってたことは後ろ暗い事だった。
表だって歩けなかったと思う。
だから、荒んでたんだし。
だから、ハーシャにいたんだし。
なんか、シャナ・カムイに登録してから気持ちがハレ晴れとなったような気がする。
未来は明るい!!!
なんてまでは思わないけれど、真っ暗闇からそれなりに日向に出てこられるようになったって言うか。
とはいえ……依頼、まずは手慣らしに簡単なのから受けようかななんて思ったら協会の方から冗談じゃないって言われたのは何で?
まぁね、黒の魔道士なんて色称号が着いててしかもSS級の人間が、街道にたむろしてるゴブリン退治は……簡単過ぎるかなって思ったけど、今日の泊る宿とごはんと………ってどんだけあたしお金ないのよ!!!
それぐらいは協会の方から何とかするって言われちゃったけど、って言うか、ターナとカルロにどんだけ困ってるんだってあきれかえられちゃったけど。
SS級の黒の魔道士が現われたって言って急にやってくるんだから困りものだよね……。
代表と国王のくせして……。
そのせいで団体専門のSS級魔道士となりました。
「っつーかさぁ、さっさと登録すれば良かったんじゃない?」
「だって気が向いたらだったんだもん。ハーシャにいたときは気が向かなかっただけ。なんか、文句あるわけ?」
「ありません」
目の前にいるのはブルーブラックの髪と瞳を持つ男。
聞けば召喚士だって言う。
取り巻く魔力が揺らぐのはそのせいね。
魔道士は黒、聖道士は白、召喚士は魔力が揺らぐ。
そう昔教えてくれた師匠は元気かな?(逢いたくもないけど)
「まぁ、自己紹介も終わったことだし、今回はよろしくお願いします」
「まぁ、良いわ。あんた面白い奴だし、その素性も気になるしね。召喚士はファーレンの人間っていう定説が崩れるか見物だわ」
「わぁ、自分こそ登録したいきさつしか言わない癖に」
「魔道士の裏は知らない方が身の為よ」
「それはもう十分、君で思い知らされてる気がするよ」
「それは光栄」
とりあえずのパートナーゲットであたしは旅を続ける。
って言うか、依頼人の場所に行くんだけど。
あたしの世界は広がった。
明るい世界に。
たとえ光が闇に遮られても、あたしにはそれを払いのけられるの力がある。
だから、あたしは、世界を怖がる必要はないわけ。
あたしは空を見上げ、そして先を歩く召喚士の背中をあたしは追いかけた。
今まで後ろ向きだった主人公がようやく前を向き始めた〜〜〜。
これもまだ本編より前の話です。
ブルーブラックの召喚士と出会った頃の話。
マリーチとはハーシャで出会うんだけど……そっか、登録したらSSだってビックリされてハーシャに戻されて、そこでカルロとターナの二人にお説教されて、そこにいたマリーチと出会って登録のいきさつっていうかその後を説明してたって感じ?
つじつまあわせたぞ。
っていうか、主人公、名前出てないorz